親子のギクシャクを解消するには?
月曜日, 4月 15th, 2013
親にとって、わが子は世界中の誰よりも大切な存在です。特に小学生までは、目のなかに入れても痛くないほどかわいいものです。しかしながら、子どもに中学受験をさし向けたことから、かわいいわが子との関係が微妙にギクシャクし始める家庭もあるようです。
原因ははっきりしています。子どもが親の期待に応えるような勉強をしてくれないからです。これは人生経験が浅く、先を読んだ行動ができない小学生だから当たり前なのですが、親には大きな期待や思い入れがあります。理想と現実とのギャップが大きいと、黙っていられなくなってしまいます。気がつくと叱りとばしたり、激しい親子喧嘩を引き起こしたり・・・。
悪いのは子どもでしょうか。しかし、小学生の子どもはまだ受験の意味もよくわかっていません。自分を追い込んだ勉強など、まだ無理な段階での受験生活なのです。親の対応なしにこの問題を解消するのは難しいのではないでしょうか。
そこで今回は、子どもとのよい関係を築くとともに、子どもの自発的ながんばりを引き出す接しかたについて、ともに考えてみたいと思います。ある臨床心理学者は、子どもとの良好なコミュニケーションを築くにあたって、次のようなポイントを掲げておられます。
1.親から発する言葉は、親だけでなく子どもの自尊心も傷つけないものであること。
2.忠告や指示を与える前に、子どもの気持ちを理解するよう努めること
なぜこの二つが重要なのでしょうか。子どもは感情を高ぶらせると、自分が経験したことや、自分の思いを親にきちんと説明できなくなります。それでいて、自分の気持ちを全部わかってほしいし、「親はわかってくれる」と思っています。「随分勝手な話だ」と思われたでしょうか。しかしながら、それが子どもというものであり、子どもゆえの望みなのです。
親には、こうした子どもの気持ちを受け止めた対処が望まれるのですが、親も感情に走ると亀裂は避けられなくなってしまいます。前述の学者は、それを踏まえて次のように語っておられます。
「先生が私のことをどなったの」と子どもが言うとき、私たちはその子からもっと詳しい話を聞き出そうとしなくていい。「いったい、何をしてどなられたの? 先生がどなったってことは、あなたが何かをしたからでしょう? いったい何をしたのよ?」などと言わなくてもいい。「あら、かわいそうに」という必要さえもない。子どもが感じている痛みやとまどいや怒りの感情を、親が理解していることを示さなければいけないのだ。
「受験生活が始まってから、どうも怒りっぽくなった」「最近、子どもが自分に反発するようになった」――このように思っておられるかたはありませんか?
そんな人は、子どもへの対応を振り返ってみてください。子どもの行為をとがめたり、叱ったりする前に、子どもの気持ちを汲む言葉を投げかけてやる必要があるかもしれません。
親は問題の主がわが子だと、遠慮のない言葉を発しがちです。そのいっぽう、他人の過ちやしくじりに対しては寛容で、ひどい言葉を浴びせたりはしません。それどころか、「大変でしたね」などと、いたわりの言葉を投げかけるはずです。まちがっても、「だからあなたはダメなんだよ」などと批判することはありません。わが子に接すると、どうして違ってしまうのでしょう。
子どもは、自分を責められると腹を立てます。そして、「やっていないところが出た」「妹がうるさくて勉強できなかった」「ノートをなくしたから」など、言い逃れをしようとします。親は、そんな子どもの態度に腹を立てます。そして、子どもを一層とがめることになります。ときには、ひどい言葉を浴びせてしまうことも珍しくありません。
しかし、ここで知っておきたいことがあります。子どもが怒りを爆発させたとき、その裏には子どもなりの不安や無力感などの感情が背景にあるのです(たとえば、「自分は、算数のセンスがないのかな」「きょうだいより頭が悪いんだ」など)。親は、そうした心のうちに目を向けてやる必要があります。そして、子どもの行為をとらえて叱るのではなく、子どもの気持ちを理解してまずは受け止めてやり、子どもが冷静になるのを助けてやるのです。
具体的には、子どもの気持ちを言葉にしてやることです。たったそれだけのことで、テストに失敗して落ち込んだ子どもの気持ちは楽になるのではないでしょうか。たとえば、次のような言葉を投げかけたならどうでしょう。
・とても残念な結果だったね
・それじゃ、とても悔しいでしょうね
・あなたにとって最悪の日だったわね
「親がわかってくれた」と感じると、子どもの心の痛みはやわらぎます。また、親に対する信頼の気持ちも深まります。親が子どもの落胆した気持ちをすくい取ってやると、子どもは辛い現実に向き合う力を取り戻すことができます。
親も急に態度を改めるのは難しいものです。しかし、「まずは、子どもの気持ちを受け止めてやろう」を胸にお子さんに接してみてください。お子さんの表情が明るくなるかもしれません。