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2020年度の作品

No.1 『 かけがえのない・もの 』
               修道中・広島城北中/Oさん

 先日、小学校で最後の参観日があった。感謝の会というめあての授業で、一人ずつ親にあてた手紙を読むという会だ。それまで、
「当日は、泣かしてやる!!」
と言われ、バスタオルの準備がいるかと楽しみに当日を迎えた。そして我が子の順番が回ってきた。幼い頃すごしたおもいで、そして中学受験のことも少し。
「問題の解答用紙がなくてたくさん喧嘩したよね。アドバイスを聞かず口ごたえしたよね。でも、いつも最後まで文句ひとつ言わず一緒に勉強してくれて応援してくれてありがとう」
という言葉だった。
 中学受験を目標に、頑張って親子で挑戦しようと決めた二年前。私の期待も大きく、おもったような成績が目にみえず、予習と復習、家庭学習の習慣もなかなか身につかなかった。親の方があせりや不安を感じる日々が続いた。自分の母親に相談すると、あせらず見守ってあげなさいと言われた。当の本人はケロリとしていたが、内心は何をどこから手をつけていけばいいのかわからず迷っていたのかもしれない。その時々で、本人に必要なアドバイスをするものの、
「自分なりにやっている。がんばっている」
と返ってくる。そのたびに、中学受験とは親子でのりこえ、取り組むものだと痛感した。言いたい事を全部伝えてしまえば、子どもは落ちこみ、親子でむだな口喧嘩にエネルギーを使ってしまい、あげくの果てに寝てしまうこともあった。大人は気分転換の方法を知っているが、我が子はまだ十二歳。毎晩遅くまで勉強し、塾へ通い、本当にすごいと思った。
 そして息子に変化があらわれたのが、塾のクラス替えのときであった。気の合う仲間と親しくなり友達が大好きで、帰宅するとたくさん話してくれた。
「〇〇すごいよくできるんよ。分からんところ教えてもらったんよ。」
友達に教えてもらうと素直に頭に入っていくようだった。少しでもできる友だちに近づいていきたい、そんな気持ちも感じた。
 しかし、友達との時間が楽しくなりすぎ成績はさがっていった。そして仲間とクラスが離れたのだ。私は当然と思ったが本人の悲しみは深かった。ここでまた息子の力となったのが友達の言葉だった。クラスが離れた時
「まっとるけぇーかえってこいよぉ」と言い、息子の携帯には、「がんばれ、まってる」と、エールを送ってくれていたのだ。そして再び仲間と同じクラスに戻れたときに、教室のドアをあけると待っていた友達が「おかえりぃー」と言ってくれたそうだ。あの日の笑顔を忘れもしない。
息子にとってこの友達が支えになったように思う。苦楽を共にした仲間笑顔、言葉。かけがえのない宝物にちがいない。
 私も親として、子どもに対する言葉のかけ方、応援、黙って見守ることを学び、最後に参観日という場で、あたたかい気持ちになることができた。これも中学受験に挑戦したかけがえのない時間になった。
 息子よ、これからも自分を信じて未来に向かってはばたいてね!!

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