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2016年度の作品

No.3 『 たくさんのプレゼント 』   清心中・女学院中/Uさん

 いよいよ初めての塾だ。あまり不安もなく明るい気持ちで通い始めた私。学校でもついていけていた私は、塾でも簡単についていけるだろうと思っていた。しかし、決してそんなことはなかった。二週間に一回のテスト、解いたこともないような難しい問題がおそいかかってきた。ほとんど勉強していなかった私は、入塾して二回目のテストの問題が分からないものがたくさんあり、順位がとても悪かった。塾ってこんなにたいへんなの?適当に勉強していてばかりではだめだ。初めて気がついた。でも、全く順位は上がらなかった。
(塾って勉強ばかりだし、行きたくないな)
そう思い始めていた。
 夏休みに入ると、私を変える出来事が起こった。同じクラスで話したこともなく、名前だけ知っている子が、テストで百点を取ったのだ。満点など考えたことも取ったこともない私は、おどろいた。うらやましくなった。そんな私は声をかけてみた。
「すごいね。百点なんて。どうやって勉強したの?」
ノートも見せてもらった。そんなので私の成績は上がるわけでもないのに。でも、これは決して無駄にはならなかった。私にとって、とてもよい刺激になったのだ。夏休み、自分で決めた課題を全て終わらすことができたのだ。そして次回のテストで、二教科、百点を取ることができた。とてもうれしくて飛び上がった。私もやればできるんだ。自信も出てきて、今までより勉強するようになった。私の成績もぐんぐん上がり、自分でも満足できるような結果になってきた。私にとってもう一つ、良いことがあった。クラスが変わり友達がたくさんできたのだ。毎週の塾も楽しく勉強できるようになった。それに、競争し合ったり、はげまし合ったりしながらする勉強は、さらにやりがいがあり、わくわくした。
 今まで塾は、勉強ばかりで堅苦しいイメージがあった。今なら自信を持って、そんなの違う!と言えるだろう。なぜなら今、こんなに達成感に満ちあふれているのだから。すてきな友達や先生と出会えたのだから。受験当日、試験や面接を全く緊張せずに受けられたのも試験直前、先生とあく手をしたり、友達と笑顔で会えたりしたからだと思う。もちろん、これまで二年間、私をかげで支えてくれた家族のおかげでもあると思う。そして、私なりによくがんばったなと改めて思った。ふり返ると二年間、あっというまだったな。夜、ギュウギュウの電車で帰ったこと。友達といっしょに笑いながら帰った塾の帰り道。やらなければいけないことをしていなくてあせったこと。私にとって、今では、すべて良い思い出になった。つらい時や、もうだめだと思うこともたくさんあった。予習が全部終わらなかったり、国語が苦手でテストの点数が、なかなか上がらなかったり。
 もうすぐ小学校卒業をむかえる今、たくさんの友達、家族がいるから、何でも挑戦できそうな気がしてくる。勉強のことだけではなく、たくさんの大切なことに気づかせてくれた二年間。いつもそばにいてくれた友達、先生方。ずっと見守ってくれていた家族。たくさんのプレゼントをありがとう。これからも感謝を忘れず、自分のペースでがんばっていきたい。中学生に向かって。大きな夢に向かって。

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