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2016年度の作品

No.6 『 最後に勝つ 』 学院中・修道中・城北中/Yくん

「きゃー、まじでー!スゴイ!」
「やったー!バンザーイ!バンザーイ」
お父さんがガッツポーズで叫んでいる。お母さんが笑いながら手をたたいていたと思ったら、わんわん泣き出した。僕は……とにかく嬉しかった。勝つってこんなに嬉しいものなんだ。最後の合格発表、学院の結果をパソコンで見た直後の我が家のリビングはまるで祭りのような騒ぎだった。その後も涙で顔がぐしゃぐしゃのお母さんに抱きつかれて困ったけど、家族みんながこんなにも喜んでくれて僕は最後までがんばって本当に良かったと思った。
 3才上の姉が受験したので当然のように4年生の夏期講習から塾に通い始めた4・5年生の時はちゃんと授業を聞いて、言われた通りテキストの問題をやっていればマナビーテストでも良い成績をとれていたように思う。
 お母さんには、テストでまちがえたところは復習するようにと言われていたが、算数の間違った問題をとき直すだけで、理科、社会は何もしていなかった。それまで、いろいろな本を読んでいた僕はあまり勉強しなくても点が取れていたので、勉強法なんて考えたりしなかった。ところが、6年生になるとだんだん点が取れなくなった。とくに算数は授業を聞くと分かるし問題もとけるのに、テストでは点が取れなくなった。「今まで通りやっているのになぜー?」理由なんて分からない。あっという間に夏期講習会。お母さんに「6年生の夏休みで受験は決まる。苦手なところを発見して」と言われていたのに、今まで短時間の勉強しかしていなかったからか・・・毎日塾に通って勉強するのがしんどくなった。その頃のノートを見ると字も乱れて丸つけもまばらだった。勝負の夏は、まさかのスランプだった。夏休みのがんばりを確かめる模擬テストの結果は、学院はB判定に落ち、算数は過去最低点を取ってしまった。いつも応援してくれていたお母さんの顔が青ざめた。
「やる気がないなら受験はやめなさい。一生懸命やらないと後悔が残るよ。お母さんと勉強法を見直そう。ベストを尽くして、ダメだったら、お母さんも一緒に泣くよ!自分に負けるな!」
とぎゅっとお母さんは僕を抱きしめて泣いていた。僕も泣きたくなった。
最後までベストを尽くそう、心からそう決意した。
 秋からの勉強法を具体的にした。算数はテストになるとあせって計算ミスが多かったので、朝15分の計算練習を日課にして、確認プリントもきちんとやって基本問題を確実にとくことを心がけた。理・社は完全チェックを冬休みまでに3回通しでやることを目標にこれも朝10分ずつ週末は少しまとめてやった。塾に行ったら算数を必ず1回質問するも実行した。それでも模試の結果は急にはあがらなかった。でもあせらない。決めた事を毎日やっていく。最後の模試もやっぱり学院はB判定。でも前とは違う。「最後までやりきる。最後に勝つ」と自分に言いきかせ、自分の決めた勉強法もやり続けた。年が明け、過去問を集中して取り組んだ。国語は時間配分を意識して練習し、算数は確実に点が取れる問題に集中して点を積み重ねることにした。
学 院の試験当日にもお母さんが
「最後まで、あきらめてはだめよ。ベストをつくす!」
と送り出してくれた。僕は自分に集中して、最後までやりきった。「これで、落ちても悔いはない。」そう思えた。お母さんが言った通りだった。
 思ってた以上にみんなが合格を喜んでくれてうれしい驚きだ。先生、家族のみんな本当に有難うございました。

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