二年二組、きのうのしゅくだい。こくばんのまえにでて、じぶんのたからものを しょうかいするんだって。ぼくのたからものは ラムネのびんから とりだした ビーだま。でも、ぼく、そういうの にがて。こういうときはアレ。アレ、アレがないと。「！」 ない！　そのとき……「へーい。さがしものは これですか？　みなさーん、こいつが いつもポケットのなかに手をつっこんでるのは、このぼろきれを にぎってるからなんだぜ」うしろのせきの しげちゃんが手をあげて、うすちゃいろのきれっぱしを、あたまのうえで ふっている。ぼくはカーっとなって、きれっぱしに とびついた。「か、かえして。か、かえして」すると、ガタンと つくえもしげちゃんも いっしょにたおれて、ビーだまも おちてかけてしまった。
ひるやすみ、ぼくがうつむいていると、となりのせきの りんちゃんが はげましてくれるみたいに しゃべりだした。「ひみつってさー、だれにでも ひとつはあるって、先生いってたじゃん。たからものとひみつは ちがうんだよ。ひとのひみつを あばくなんて、しげったら、いやなやつ」りんちゃんは口をとがらせた。「よし、こうなったら、しげのひみつ、つきとめてやろっ」
かえりの会がおわると、このごろ まっさきに しげちゃんはいなくなる。きょうも、あいさつのとちゅうからランドセルをせおって、あたまをさげたまま教室をでていった。「におうわね。ひみつのにおいがする」りんちゃんは、きっと かえりみちに ひみつがあるにちがいないといった。