でんわで話していたママが、じゅわきをおいたとたん、くるっとこっちをむいてぼくに言った。「らいしゅう木よう日のほごしゃ会のおしらせって、ママはもらってないわよね」（しまった！学校のつくえの中に入れっぱなしだ･･･！）
　ママは、ぱぱっと歩いてきて、ぼくのしょうめんのソファに、せすじをのばしてすわった。「たけゆきくんのママに聞かなきゃ、わからなかったじゃないの」そう言いながら、まっすぐこっちを見ている。（やばい･･･！）ぼくは、となりにいるパパのほうに、おしりをずりずりっとずらした。「たけゆきくんはちゃんとわたしたっていうのに、あなたはどうしてわすれてばかりなの？」ぼくを見つめるママの目が、だんだん三かくにつり上がってきた。ぼくは、またずりっとうごいて、パパにくっついた。
「あ、あー･･･、そういえば、パパも子どものころ、わすれものが多かったなあ。クラスでわすれもののチャンピオンだったんだぞ」と、パパが言い出した。それを聞いたぼくが、「ほんと？ぼくも、となりのせきのルミちゃんと、二組の『わすれものチャンピオン』をあらそってるんだ！」と思わず言うと、ママのいかりがばくはつした。
「そんなこと、じまんじゃありません！ママはわすれたりしなかったわよ！！」