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2年生の今月の本


かばた医院のひみつ タイトル かばた医院のひみつ
著者 中島 和子(作)秋里 信子(絵)
出版社 金の星社
 

体温計(たいおんけい)の数字は、37度(ど)5分(ぶ)。それもそのはず、朝からなんだか体がだるくて熱(ねつ)っぽかったのです。お母さんは今日は仕事(しごと)で遅(おそ)くなります。それでミユはひとりでバス通りの病院(びょういん)にやってきました。なのに、病院の掲示板(けいじばん)を見ると水曜日の午後のらんは「×」。せっかく来たというのに休診(きゅうしん)だなんて、やっぱり今日はついていません。
病院からの帰り道、ミユはとうとう歩く元気もなくなり道ばたにしゃがみこんでしまいました。いつのまにか日がしずんで、あたりはうす暗くなっています。ふらふらと立ち上がったそのとき、街路樹(がいろじゅ)のむこうに、ぼんやりと明かりがすけて見えました。玄関(げんかん)に「かばた医院(いいん)」と書かれています。「お休みじゃないんだ!」ミユはそっとガラス戸(ど)をおして中に入りました。
受付(うけつけ)をすませて待合室(まちあいしつ)のイスにこしかけていると、何やら診察室(しんさつしつ)から声が聞こえてきます。ミユはそれをぼんやりと聞いていました。「先生、今度(こんど)は、ここが……」「だいじょうぶですよ。しっかりぬっておきましょう。おーい、一番太い針(はり)と、麻糸(あさいと)を用意(ようい)しておくれ」「じゃあ、いきますよ。はい、おなかをひっこめて!」「ウウーン、ウウーン!」ミユはとじていた目をパカッと開けました。いったい診察室で何がおきているのでしょう。太い針と麻糸だなんて、そんならんぼうな治療(ちりょう)があるでしょうか。ミユのせなかやおしりがゾワゾワしました。すると、まもなく「どうも、ありがとうございました」と声がして、患者(かんじゃ)さんが診察室から出てきました。出てきた人を見て、ミユは目をパチパチさせました。

●かばた医院にやってくる患者さんは、なんとぬいぐるみや人形たち。やぶれてしまった体やぬけてしまった毛を先生に修繕(しゅうぜん)してもらっているのです。そのことを知ってから、かばた医院はミユにとって面白くてワクワクするような、とっておきのひみつになりました。

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