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3年生の今月の本


『うそじゃないよ』と谷川くんはいった タイトル 『うそじゃないよ』と谷川くんはいった
著者 岩瀬 成子(作) 味戸 ケイコ(絵)
出版社 PHP研究所
 

 るいは、学校ではめったに口をきかない。それは、小学校に入ってからずっとつづいていた。じゅ業中に先生からあてられても、たいていだまってうつむいていたし、時々小さな声で「はい」か「いいえ」と答えるていどだった。クラスのだれかに話しかけられても、やはりだまって相手の手や口のあたりをじっと見ているだけだ。
 だが、るいは本当は声も出るし、たくさん話すこともできる。家では、両親とふつうに話しているし、じょうだんを言って、わらわせたりもする。ようちえんのときには友だちとも話していたような気がするが、どうして小学校に入ったとたんにしゃべらなくなったのか。その理由はだれにもわからなかった。るい自身にもわからなかった。
 谷川くんという男の子がクラスにやって来たのは、月曜日の朝だった。先生が「転校生です」としょうかいすると、谷川くんはクラス全体をひととおり見まわして、にかっとわらった。「ぼくのしゅみは、星を見ることです。今、火星が地きゅうに大せっ近しています。今月の終わりころには、もっと大きく見えるはずです」そんなあいさつをした。一番前のせきのるいは、谷川くんをまじまじと見つめていた。これが、谷川くんとの出会いだった。

●社交的な性格でたちまちクラスの人気者になった谷川くんと、学校やクラスの環境に馴染めないるい。2人は、谷川くんが抱えている秘密を通じて、少しずつ交流するようになります。
丁寧な情景描写とともに、主人公の心の動きが細やかに描かれています。3年生にとっては少し長くて難解な部分もありますが、読書好きな子には手に取ってみてほしい一冊です。

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