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3年生の今月の本


歩いて行こう タイトル 歩いて行こう
著者 北 ふうこ(作) 岡本 美子(絵) 
出版社 学習研究社
 

前の学校の友だちからとどいた手紙を前に、ぼくはフーッとためいきをついた。手紙には、1年前ぼくがこの町にひっこしてくる前に住んでいたところの様子が、元気いっぱいのおどるような文字で書かれている。それによると、えき前に大きなショッピングモールが新しくオープンしたらしい。そこにできたという、大きなデパート、えいが館、ゲームセンター・・・どれも、この町にはないものばかりだ。
まどの外に目をやると、遠くに山が見える。この町には、遊ぶところなんてほとんどない。あるのは、山と川と畑と、じん社ぐらいのものだ。お父さんの会社の近くまで行けば色々あるのかもしれないけど、それだって電車で1時間はかかるし、子どものぼくにはとても行けそうにない遠いところだ。
前に住んでいたところは、すごく大きなマンモスだん地で、だん地全体がひとつの町だった。お店もびょういんもようち園も小学校も、全部だん地の中にあった。道路もととのえられていて、だん地の中には関係ない車もめったに入ってこない。ぼくにとって、さいこうの場所だった。それなのに・・・。
「こんなとこ、なんで来ちゃったんだろう・・・」この1年間で何度もくりかえしたセリフを、ぼくはまた口にした。

●たけしは、一人暮らしになってしまったおじいちゃんと同居するため、家族みんなで山間の町に移り住んできました。喘息をもつ妹のためには、空気のきれいなところで暮らす方がいいとわかっていても、遊び場のない田舎暮らしに、たけしは行き場のない不満ややるせない思いを抱いています。
都会の便利な暮らしに慣れてしまうと、自分の足で歩くことの素晴らしさや自然の美しさも忘れてしまいがち。この本は、そんな忘れてしまった大切なものを思い出させてくれます。

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