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3年生の今月の本


転校生は忍者?! タイトル 転校生は忍者?!
著者 もとした いづみ(作) 田中 六大(絵)
出版社 佼成出版社
 

「さあ、教室に行きましょうか」
 先生が職員室のイスから立ちあがると、しのぶは「はっ!」とこたえて、音もなく一歩下がりました。
(……今この子「はい」じゃなくて「はっ!」って言ったわよね?)担任の森山先生は、今日から入る転校生の顔をちらっと見ました。
 しのぶは、むかしから忍者が住む村で生まれ育ち、二さいのときから忍者の修行をはじめました。そして、十さいになったら、家をはなれて本格的な忍者修行をはじめるという習わしどおり、しのぶひとりで、東京のひいばあちゃんの家に越してきたのです。
「転校生の服部しのぶさんです。服部さん、自己紹介してくれる?」
 教室についたあと、先生がそう言うと、みんないっせいに、しのぶに注目しました。
「三重県から参りました、服部しのぶと申します。都会の小学生として、真面目に取り組もうと思っておりますゆえ、どうかよろしくお願いいたします」
 かわいらしい女の子が、とても低い声でとても難しい言葉のあいさつをしたので、みんなびっくりして、教室全体がいっしゅんでしーんとなりました。

しのぶはまだ小学生ですが、忍者の家系に生まれた、れっきとした忍者です。10段以上もある階段を軽々と飛び降りたり、何キロも先の様子を見通したり、塀の上を目にも止まらぬ速さで駆け抜けたり……、他の子達にはとてもできないことを簡単にやってのけます。でも、ずっと忍者が集まる村の中で育ってきたしのぶには、一般社会での暮らしや一般的な小学生の考え方が理解できません。立派な忍者になるために、それを学んで身につけることこそが、都会で修行する上での一番の目的なのです。

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