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5年生の今月の本


いつも心の中に タイトル いつも心の中に
著者 小手鞠 るい
出版社 金の星社
 

「行ってきまーす!」「行ってきまーす!」
元気よくあいさつをして、おにいちゃんとわたしは家を出た。
「はーい、行ってらっしゃい、気をつけてね」
おかあさんは、玄関のドアの前に立って、見送ってくれた。いつもと変りない朝だった。おかあさんのすぐうしろには、おとうさんが立っていた。ふりかえって、わたしはたずねた。
「ねえ、おとうさん、きょうのおやつ、何?」「何がいいかな。みずきの好きなシュークリームにするか」
おやつを買っておくのは、おとうさんの役目。いつもと変わりない朝だった。
 四時間目の授業が始まって、十五分か、二十分がすぎていたと思う。教頭先生が教室をたずねてきた。
「花森さん、いますか?花森 みずきさん」
教頭先生の言い方は、いつもとはちがって、ちょっとへんだった。顔つきもおかしかった。
「悲しいお知らせをしなくてはなりません。さきほど、おかあさんからお電話があって、花森さんのおとうさまが、亡くなられたそうです」
わたしはだまっていた。くちびるがぴくぴく、ふるえている。何かを言わなければいけない、と思っているものの、何を言えばいいのか、さっぱりわからない。涙も出てこない。心はまるで、かたつむりがおどろいて、角をひっこめたみたいになっている。

●ある日突然、大好きなおとうさんを亡くした主人公の女の子が、自然豊かなアメリカの小さな村で過ごしていく中で、悲しみを乗り越え、成長していくお話です。
 挿絵はありませんが、場面の様子やまわりの自然の風景が丁寧に書かれてあり、想像がしやすく、読みやすい一冊です。

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