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5年生の今月の本


かえだま日曜日 タイトル かえだま日曜日
著者 植松 二郎
出版社 童話屋
 

 いとこの勇介から、電話で
「ちょっとたのみたいことがあるんだけど……」
と言われたとき、ユミはなんだか、ざわっと胸さわぎがしました。勇介がたのみたいこととは、今度の日曜日に、塾の模擬テストと、エキデンの選手の集まりが重なったため、一日だけ自分のかえだまになってくれということでした。

「えーっ、やだ、そんなのやだ、だれが模擬テストなんか! ぜったいいやだからね勇ちゃん、あたし!」
「模擬テストの方じゃなくて……」
「え?」
「エキデンのほう」
「ちょ、ちょっと待って勇ちゃん、電話じゃわかんないよ、ちゃんとうちまで来て話したら?」

 一時間後、本当にやってきた勇ちゃんは、
「でさあ、さっきの話だけど」
と、いきなり始め、
「女と見こんで、たのむ。ユミちゃん、男になってくれ!」

 そう言って、ぺこりと頭をさげました。とうとうユミは、一回きりとはいうものの、勇介のかえだまとして、男になりすましエキデンの練習に参加することになりました。いとこだから当然とはいうものの、ふたりはうりうたつ。勇介が男で、ユミが女であることをものともしないぐらい似ていました。二人の違いといったら、髪の長さぐらいのものです。

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