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6年生の今月の本


ナシスの塔の物語 タイトル ナシスの塔の物語
著者 みお ちづる
出版社 ポプラ社
 

 ナシスは砂漠の辺境の町。少年リュタの父親は、そのナシスで一番おいしいパティーを焼く職人だ。リュタは、早く一人前になって父親を手伝いたいと思っているが、がんこな父親に毎日きびしくしかられてばかりいる。

 ある日、学校におくれそうになったリュタたちは、トンビの引く荷車に無理やり飛び乗った。トンビは、町のはずれの荒れはてた丘の上にひとりで住んでいる。三十歳近いというのに、石大工にも相手にされないような石を集めて暮らしているので、子どもにまでばかにされていた。ところが、無理に乗ったためトンビの荷車がこわれ、リュタはけがをしてしまう。リュタは、トンビがおわびにと連れて行ってくれた丘の上で、石をたくさん積んでできた小山を見ておどろいた。役にも立たない石を使って、いつか空にとどく塔をつくると言うトンビに、リュタはあきれる。

 同じころナシスの町に、遠くの豊かな国から隊商が来た。中にひとり、目のするどい男がいる。ドロスという名の「はぐるま屋」だ。ナシスの町に「はぐるま屋」がないと聞いて、ドロスはナシスに住みつき、店を開く。

 はぐるまは高価だが、はぐるまを使うと仕事がどんどんはかどるので、ナシスの人々は次々とはぐるまを買った。「はぐるま屋」は大繁盛。町はひろがり、始末におえないナンバ草だらけだった土地も、農地に変えられていった。

 リュタは、ドロスの「はぐるま屋」に通うようになっていた。今までだれからも一人前にあつかわれなかったのに、ドロスは機械好きのリュタを大人のようにあつかってくれる。リュタはそれがうれしく、新しい機械について気づいたことをドロスに教えた。パティーのタネこね機をつくって、父親を楽にしてやるつもりだったのだ。だが父親ははぐるまは買わないと突っぱねる。と、ドロスの態度が変わった。リュタの店のコツを取り入れた機械を、ほかの店にもっていって売ると言う。――

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