古代エジプトの首切り役人の手から、黒髪のとらわれの少年を助け出そうとする夢を見たサイ。しかし、サイが少年に手をさしのべたところで目がさめてしまった。あまりのタイミングの悪さに、サイは消えさろうとする夢を思わずひっつかんだ。

　すると――、ひっつかんだ夢に手ごたえがあったのだ。夢の向こう側から、なにものかが夢をひっぱっているらしい。ひっぱりあっているうちに、サイはもとの夢のなかへところがりこんだ。

　そこはサイの考えたことはなんでも実現する、サイの夢の中の世界だった。サイは、そこで黒いマントをまとった小人、ドリーム・マスターと出会った。ドリーム・マスターはサイに母親がもうすぐサイを起こしにやってくるから、早く夢の世界から出ていけとせかす。サイは、ドリーム・マスターにこの夢のつづきを見せてくれるようにたのんで現実の世界へと戻って行った。

　四日後、ようやくあらわれたドリーム・マスターは、いろいろな冒険の夢の話をしては、この間の夢の続きを見せようとはしなかった。ドリーム・マスターは、この夢の続きにはトラブルのにおいがするというのだ。サイは、ドリーム・マスターの言ったとおりに行動することを約束して、もう一度古代エジプトの夢の続きを見せてもらうことにした。

　ところが、サイとドリーム・マスターがおりたった夢の世界は、少年を助けようとしたピラミッドのそばのさばくではなく、古代エジプトの墓の中だった。