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6年生の今月の本


チポロ タイトル チポロ
著者 菅野 雪虫(作)
出版社 講談社
 

 真っ青な秋の空から、大きな白い鳥が落ちてくる。
 チポロは、仲間内で一番背も低く、やせっぽっちで狩りも下手でした。そんなチポロの初めての大きな獲物に、子どもたちは驚き、顔を見合わせました。チポロは、ツルを腕にかかえ、走りました。チポロが差し出した大きなツルに、祖母のチヌは目を丸くしました。チヌはツルを受け取り、そっと床に寝かせると、<魂送り>の儀式の準備をはじめました。「神さま、今日はツルの姿で我らのものに来てくださり、チポロの矢に当たってくださってありがとうございました。どうぞ、神の国にお帰りください――」チヌはいつも「鳥や獣は神さまのからの贈り物」だとチポロに語っていました。
 翌日、見たこともないやる気に満ちた表情で狩りに出かけるチポロを、チヌは嬉しさと心配が半々になりながら、見送りました。ツルの神さまがチポロの矢にあたったのは、きっとただの気まぐれ。それでも、その気まぐれがチポロのなにかを変えたようでした。チヌはあらためて、ツルの神さまに手を合わせました。

●このお話は、チキサニとオキクルミという二人の神のアイヌの神話を元にした物語です。この二人の神は、一方は欲深くなる人間に愛想をつかし天上に去っていき、もう一人はそれでも人間のことを愛し、地上に残ります。物語は、この後、チポロの一番仲の良い友が魔物にさらわれてしまい、助けに旅立つという展開になります。物語が進んでいく中には、人の優しさや成長だけでなく、他人を妬んだり、安易な考えに流されてしまったりと、人の弱さも描かれています。

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