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6年生の今月の本


保健室経由、かねやま本館。 タイトル 保健室経由、かねやま本館。
著者 松素めぐり
出版社 講談社
 

「さてと」鼻の頭をかきながら、キヨがせきばらいをした。
「えー、じゃあ説明を始めます。ここは中学生専門の、日帰りの湯治場、かねやま本館でございやぁす!源泉かけ流しがいちばんのウリで、その日のうちに、すっかりお湯が入れ替わる。だから、来るたびに新しいお湯に浸かれるってわけ。ほら、その入館証に、有効期限が書いてあるだろう?その期間中は、第二保健室さえ開いていれば、好きなときに来られっから。」
 「そんで、ここのお湯はふつうとはちょっと違う。その日の、その人の心にぴったりの温泉が用意されてんだ」キヨが「すっげぇだろ?」とあたしを見上げる。その人の心に……?
「で、ここからがいちばん大事だ。ここを楽しむためには、規則だけは守ってもらわなくちゃいけねぇ」

 規則その一、紫色の暖簾は、けっしてのぞいてはならない。
 規則その二、かねやま本館の話を、元の世界でしてはならない。
 
「いいか?これだけはしっかり守ってくれよ」

●仲良しグループのメンバーから一緒にいるとしんどいと突然言われたサーマは、授業を受けていても、その言葉が思い出され、保健室へいくことにします。保健室の引戸をあけようとしたところを、不気味な白衣のおばさんに「あんたはこっち」と【第二保健室】と書かれた部屋へ案内されるのです。
 第二保健室には、大きな穴があり、はしごがかかっています。そのはしごを下りると……そこには湯治場がありました。

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