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6年生の今月の本


給食アンサンブル タイトル 給食アンサンブル
著者 如月 かずさ
出版社 光村図書
 

〇マーボー豆腐
 その夜に食べたマーボー豆腐が、最初のきっかけだった。家族で出かけた本格的な中華料理店のマーボー豆腐。そのマーボー豆腐の最初の一口を口にしてすぐに、わたしは固まってしまった。口の中が熱くて痛くて、顔中に汗がぶわっとふきだした。
「この程度で大騒ぎするなんで、ほんっとにお子さまよね桃は」
 お姉ちゃんのとげとげしい言葉の響きに、わたしはびくっと首を縮めた。
「そうだぞぉ。このくらいの辛さなら、平気で食べられなくっちゃなあ。桃ももう中学生なんだから、うん」
 お酒で上機嫌のお父さんが、お姉ちゃんに調子をあわせた。

 わたしはゆうべのマーボー豆腐のことを学校で話してみた。
「あっ、そこの店ならあたしも行ったことあるよ。おいしいよねあそこのマーボー豆腐」
 朋ちゃんがさらっとそんなことを言うので、わたしは思わず「え――っ!?」と声をあげてしまった。
「あんな辛いマーボー豆腐、わたしはこりごりだよ。あれなら給食のマーボー豆腐のほうがおいしいと思う」
「まあ、桃も大人になれば、きっと本場の味のよさがわかるって」
 冗談まじりのその言葉に、わたしの胸はぎゅっとなった。

★中学生になってから、桃はまわりのみんなが急に大人になって見えていた。そして、自分はほかのみんなとくらべて子どもっぽいんじゃないかと気にしていた。その気持ちが、「マーボー豆腐」をきっかけに大きくなった。このままじゃみんなに置いていかれてしまうと思った桃は、“大人になるための努力”をはじめる。

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