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6年生の今月の本


少年の海 タイトル 少年の海
著者 横山 充男
出版社 文研出版
 

 小学6年生の太は、勉強はまずまずできるほうだし、親からも信頼されています。しかし、自分をぶつけて必死に何かをやってみることもないまま、小学校生活の最後の夏休みを終わってしまうことに対して、何となく物足りなさを感じます。そんな自分を吹っ切るために決心したのが、毎年八月一日の御船神社の祭りの日に行われる「遠泳大会」に参加することでした。参加できるのは、6年生の男子だけ。つまり、男の子にとって、一生に一度だけ与えられるチャンスです。

 しかし、この遠泳大会は、毎年20~30人の参加者のうち、必ず何人かは脱落する厳しいものでした。太も、友だちのヤッチンも、プールでたったの二十五メートルしか泳げません。それでも、一念発起し、二人はこの遠泳に参加することを決心します。

 遠泳に参加する上で、太には泳げないことのほかに、もう一つ問題がありました。中型漁船のコックをしていた太の父親は、三年前に海難事故で死んでいたのです。あのときの母親のつかれきった顔を、今でも思い出します。それ以来、母親は海をおそれていたのです。そんな母親に、遠泳のことをどうやって切り出していいかわかりませんでした。

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