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1年生向け季節の本

このはのおかね、つかえます タイトル このはのおかね、つかえます
著者 茂市久美子(作) 土田義晴(絵)
出版社 佼成出版社
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 ヤマキヤは高原のバス停のそばにある、しぼりたての牛乳で作ったソフトクリームを売る小さなお店です。そして、この高原の大きなシナノキの近くには、母さんたぬきとこだぬきがすんでいました。

 もうすぐ、こだぬきの誕生日。こだぬきは「ヤマキヤのあの白くてくるくるしたもの」が食べたいと母さんにリクエストします。いちどいいだしたらなかなかいうことをきかないこだぬきなので、誕生日になると、母さんは人間に化け、木の葉をお金にかえて、ソフトクリームを買いに出かけました。

 ソフトクリームを食べたこだぬきは、
「つめたいけど、おいしいねえ。ぼく、こんなおいしいもの、はじめて。」
と誕生日以来、すっかりソフトクリームのおいしいあじがわすれられなくなりました。そして、それからというもの、こだぬきにねだられるたびに、母さんはしぶしぶ人間に化け、ヤマキヤに出かけるようになったのでした。

 一方で、ヤマキヤではレジのお金の中にしばしばハートの形をした木の葉がまじっていることがつづくようになっていました。

「木の葉のお金はつかえません」ヤマキヤのおじいさんは、みせにこんなはりがみをし、いよいよ母さんたぬきは自分の正体がばれたのではないかと、胸をどきどきさせます。木の葉のお金が使えなくなったら、こだぬきはもう、二度とあのおいしいソフトクリームを食べることができないのでしょうか。
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