さいのシラノ先生はうでのいいおいしゃさんです。どんなびょうきだって、あっというまになおしてしまうとひょうばんです。だから、おかのうえのびょういんには、まいあさかんじゃさんのながーいれつができるほど。

「さ、きょうもがんばるぞ。」
　シラノせんせいははりきって、どっかどんどっかどん、びょういんへでかけました。さてさて、その日はなんともいそがしく、つぎからつぎへ、かんじゃさんがやってきて、シラノせんせいはおひるをたべるひまもありませんでした。やっと、さいごのかんじゃさんをみおくったときには、さすがのせんせいもくったくた……。
「はやくかえって、やすみたあい。」
　びょういんをしめて、おかをかけおります。どっかどん、どっかどん、どっかどんどん……。

　 ところが、おかのふもとまでやってくると、なにやら、一本の木から、小さなうめきごえがきこえてくるのです。
「なんだろう？」
　せんせいが、そうっと、みきの小さなあなをのぞいてみると……？