私たちの中学受験指導における基本的考え
11月 13th, 2008
前回、「難しいことでもわかりやすく教えられる先生が、小学生の学習指導の専門家だ」という主旨のことを書きました。それをもう少し言い換えると、私たちの指導方針そのものになります。すなわち、「無理・無駄・ムラのない学習指導によって、志望校合格の夢を叶える」ということです。
この方針のもつ意味について少し書いてみましょう。簡単に言えば、「子どもになるべく負担を与えない受験勉強で合格を果たす」ということですが、それを私たちは大変重要なことだと考えています。中学受験では、高校や大学への受験と違って、勉強のお膳立てはすべて大人がし、大人主導で対策が進められていきます。当然、大人には「この勉強法は子どもにふさわしいものか、子どもにやりきれるものか」という視点が求められるはずです。ところが、「受験するからには合格させてやりたい」という大人の思いが、ともすれば勉強の負担を加速させがちです。なかには、「受験なんだから、合格しなくては意味がない」「受験は競争だ。過酷なものになるのはやむを得ない」など、大人の発想を押しつける形で、後先のことを考えない猛烈勉強に子どもを追い立てる例もあります。
受験勉強が子どもの現実を無視した過酷なものになると、取り返しのつかない事態を招きかねません。たとえば、やってもできない問題に明け暮れていると、子どもは無力感に陥りがちです。それがもとで、勉強を放棄するケースもあります。大人がテストの点や順位のことばかり言うと、大人にほめられるために勉強する態度が染みついたり、成績に対して過敏な子どもになったりするおそれもあります。
こうした事態を招くと、子どもの将来は受験の結果に関わらず危ういものになってしまいます。子どもの健全な成長を損なわない受験勉強で合格をめざすなら、そうした心配は要りません。それに、時間や物量にものを言わせた勉強が合格力で勝る訳ではありません。限られた時間の中での勉強で合格できる学力に到達できるよう、大人が受験対策のメニューを精選し、効果的な勉強法を子どもに教えてやったなら、物量作戦を凌駕することは十分にできるのです。それに、なによりも子どもの成長にとってマイナス面がないという点で圧倒的に望ましいのではないでしょうか。