このとき、家庭学習研究社が産声をあげた! ~その3~
11月 19th, 2008
ところが、子どもが6年生になると、親たちがいても立ってもいられない様子で青年に詰め寄ってきました。実績のない青年のやり方を、はじめは静観していたものの、入試が近づいてくるうちに「この先生の指導でほんとうに大丈夫なのか」という不安が募ってきたのです。
当時は、子どもがやりこなせるかどうかはともかく、参考書に載っている問題にできる限り取り組ませるのが普通でした。問題がそこにある以上、切って捨てるのは勇気の要ることです。そういうやり方が普通に行われていたわけですから、親の多くは「難しい問題をやらないのは不利だ」と考えたのも無理からぬことです。「広島の塾がみなやっている問題を、どうして先生はうちの子どもにやらせてくれないのか。こんなことでは合格などできるわけがない!」そう言って、他の進学塾と同じような指導法に変えるよう求めてきました。
青年は自分の方針を曲げたくありませんでした。自分のやり方のほうが、学力を身につけるうえでよいと確信していたからです。そこで、「入試は、全部の問題の6~7割できれば受かるのに、全ての問題に答えようとすれば、消化不良を起こし、結果的に学力は身につきません」そう親に説明しました。が、多勢に無勢、不安がる親たちには聞き入れてもらえませんでした。
窮地を救ってくれたのは、教室にやってくる子どもたちでした。子どもたちは、「先生の授業は楽しいんだ。今のままがいい!」「先生の授業はよくわかるから好き!」「絶対に、教え方を変えてほしくない!」など、口々に青年の指導法を支持してくれたのです。子どもたちの熱意に負けた形で、親たちは不承不承引き下がってくれたのでした。