子どもの思考を活性化する授業
12月 11th, 2008
随分以前から、「学校で授業をちゃんと聞ける子どもが減り、授業が成り立たない」などという話を耳にします。しかしながら、中学入試をめざしているお子さんは学習意欲も旺盛です。したがって、私たちの教室ではそういった心配はありません。ちょっとしたヒントを与えると、「あっ、そうか!」「わかった!」など、つぎつぎに反応してくれます。授業で扱う単元や内容が、子どもの興味を引くものであったときは大変盛り上がります。
6年生の国語の授業でのことです。人物の行動の裏にある本当の気持ちに気づかせようと、子どもたちにつぎつぎと発問を繰り返しました。やや難しい内容でしたが、一人ひとりが食いつくような顔をして、一生懸命考えてくれました。すると、どうでしょう。授業終了のチャイムが鳴ったとき、子どもたちはいつもとは違う反応を示しました。「先生、今日の授業はあっという間に終わったね!」「休憩時間を使ってもいいから、続きをもっとやろうよ!」など、頬を紅潮させ、目を輝かせながらつぎつぎに言ってくれたのです。このときには、心底仕事冥利に尽きる思いをしたものでした。
また、4年生の国語の授業ではこんなことがありました。扱う内容がやや難しすぎたのと、時間も少なくなったこともあって、こちらがポイントを説明しようとしたときのことです。突然、「ダメ! 言っちゃ、ダメ! 今、わかりかけているんだから!」と、ある女の子が猛烈に抗議をしてきたのです。この女の子は、どうしても自分で考えて納得したかったのでしょう。その一途な思いに圧倒され、思わず「ごめん、ごめん」と謝ったことを覚えています。4年生のときには、ごく普通の成績だったその女の子は、5年生、6年生と進むうちに成績を伸ばし、ついに第一志望校合格を果たしました。
授業で心を集中させ、課題の核心に迫るべく思考を巡らせる。全員で同じ課題について考え、あれこれとやりとりをする。そして、他の子どもの発表にヒントを得たり、指導担当者のさりげない誘導でパッと新たな気づきを得たりする。どの教科においても、そういう授業が子どもの思考のステージを上げていくのだと思います。「これは大切だから覚えておきなさい」式の授業では、子どもに新たな気づきや感動を与えることはできません。毎回思い通りにいくわけではありませんが、私たちはこのような授業の実践を念頭に置き、日々の指導にあたっています。
※以上は、4年部から6年部前期の「基礎力養成期」の学習指導について述べたものです。