2009年の始めに
1月 5th, 2009
あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
学習塾は、口コミで成り立ってきた業界です。私たち自身、「充実した指導と入試結果がすべて。お金のかかる宣伝などは不要」と考えてきました。筆者が入社したころには、チラシ広告さえなかったほどです。しかしながら、少子化の定着を初め、学習塾をとりまく環境は年々厳しくなりつつあります。首都圏などでは、かつて勢いのあった学習塾が閉鎖の憂き目にあっているという話も耳にします。
そこで、「私たちも、何らかの形で存在をアピールしなければいけない」と考えるようになりました。一昨年の末からテレビCMを始めたのも、こうした理由あってのことです。2009年度の会員募集に向けて、昨年の12月25日より、広島テレビと広島ホームテレビでCMを流していますが、ご存知でしょうか。わずか15秒のスポットCMなので、お気づきになっておられないかもしれませんね。
このCMは、「学びの原点は小学生時代にある」という字幕とナレーションで始まります。この言葉は、私たちの学習指導にかける思いを凝縮したものです。というのは、中学、高校、大学、社会人と、人間はいくつになっても勉強から離れることができません。まさに現代人にとって、「人生は勉強の連続体」なのですが、一人ひとりの人間の生き方や学びの姿勢を遡ると、その原型は必ずと言ってよいほど小学生時代に行き着くと言われています。まさに、「学びの原点は、小学生時代にあり」なのです。
そのことは、「小学生時代にどんな学習体験を積み重ねるか」が、いかに重要かを教えてくれます。小学生の頃に学んだ経験の記憶が、楽しくて心に張りを与えてくれるものであったなら、その人はいつまでも学ぶことを求めて止まないでしょう。一方、「親に叱られ、イヤイヤ勉強した」「塾で難しい勉強を無理やりやらされた」となると、その経験は忌まわしい記憶となっていつまでも尾を引くものです。
また、大人になるといろいろな人生の局面にさらされます。解決に向けて、勇気や決断を迫られることもたびたびです。そういうとき、どんな解決策を採るか、どんな決断をするかも、子どものころの体験や学びが大きな作用を果たすそうです。「小学生時代は、人生の原風景をつくる時期である」とは、有名な教育学者の言葉ですが、この言葉に納得される方は多いのではないでしょうか。
わたしたちは、中学受験をめざす子どもたちが、受験生活を通じて自分への自信を深め、学習に能動的に取り組む姿勢を築いていくことを大変大切なことだと思っています。目先の受験結果よりも、むしろこのほうが遙かに大切ではないでしょうか。長い学びの人生の原風景が、豊かで建設的なものであれば、その人の一生は美しい彩りを帯びるに違いありません。
中学受験は、子どもの人生においてちっぽけなものでしかありません。しかし、子どもの生き方や考え方に影響を及ぼすという点では大きな役割と作用を果たします。ところが、いざ受験勉強が始まると、ともすれば両者の重要性が逆になりがちです。「受かること」がすべてで、「どんな学び方をするか」が省みられなくなってしまうのです。
お子さんの受験生活のスタートにあたっては、是非このことを胸に留めておいていただきたいと思います。そして、お子さんにとって一番必要なものは何かを考えていただきたいのです。中学受験が、お子さんの人生のよきステップとなることを念じて、年頭のご挨拶に代えさせていただきます。