暗記型の勉強はなぜいけないの? ~その2~
1月 9th, 2009
以前、ある私立中学の入試でこんな問題が出されました。「秀吉の検地・刀狩りが、世の中の仕組みにどんな変化をもたらしたか、簡単に説明しなさい」――おそらくは、社会構造の変化とその要因を関連づけて理解しているかどうか、すなわち本当に歴史を学んでいるかどうかを尋ねたものでしょう。暗記型の子どもには辛い問題です。知識を丸ごと覚え込んで、歴史の因果関係を説明する問題にまで対処しようとすると、頭はパンクしてしまうことでしょう。
私たちは、こう思います。教科のフレームとなる重要な内容の学習は、子ども自身が「なるほど!」と、納得しながら進めていくべきです。そして、その後で付帯的事項を取り込んでいくのです。たとえば、歴史の大きなうねりをしっかりと掌握したうえで、歴史上の出来事の一つひとつを掘り下げて学んでいくのです。そうすれば、先ほどのような問題にも十分に対処できるし、暗記力のよさも一層生かされるのではないでしょうか。
私たちが4年部開始から2年あまりもの期間をかける「基礎力養成期」で徹底させているのは、このような考えに基づく指導です。大切な基本をしっかり身につけた子どもは、知識をバラバラでなく体系的に理解していますから、中学入試に強いのは無論のこと、中学・高校進学後も筋のいい学習を展開させていき、学力を大きく伸ばしていくことができます。
小学生の子どもの暗記力は確かにすばらしいものです。しかし、理屈を理解して納得していく学習のほうが、長いスパンで見ると、結局は学力開花への遠回りのようで近道なのです。また、「なぜだろう?」「どうなっているのだろう?」という疑問を、自分の知識を総動員して解決していく学習のほうが、暗記型の学習よりも何倍も楽しいのではないでしょうか。
小学生には、どういう受験勉強をすべきかの判断はまだできません。このことを踏まえ、中学入試をめざして学ぶ子どもたちに最もよい勉強法を授けるのが、私たち大人の役目であろうと思います。