家庭学習研究社「前期講座」が開講しました
2月 24th, 2009
2月14日(土)に、家庭学習研究社の5・6年部「2009年度前期講座」が開講しました。また、2月28日(土)には4年部が開講します。
毎年感じることですが、ついこの間まで6年生の追い込み指導をしてきた指導担当者から見ると、これから6年生になる子どもたちはまだ受験生とは言えないほどです。まして、4年生5年生になるお子さんは、かわいらしいばかりで、「受験するのだ」という意識ももっていないかのようです。親に言われるままに、なんとなく学習塾に通っているお子さんもおられることでしょう。
しかし、心配無用です。例外的に早くから受験への意識が明確なお子さんもいますが、たいていの場合、子どもの成長や、受験勉強の進展、周囲の雰囲気の変化などに伴って、少しずつ受験への意識は育っていくものです。子どもの成長を引き出す働きかけをしていきながら、焦らずに機が熟するのを待ってやる方が、仕上げに入ってからの奮起とがんばりにつながるのです。くれぐれも大人のほうが先走り、子どもを追い立てるような受験生活にならないようご配慮をお願いする次第です。
さて、2009年度の講座の開始にあたり、中学受験生のおとうさんおかあさん方にご提案したいことがあります。それは、お子さんの中学受験を「子どもの育て直し」「子育ての仕上げ」の場であるという意識をもっていただくことです。
小学4年生は、まだまだ幼さを感じさせ、人間としての完成型にはほど遠い状態にあるのが普通です。しかし、中学受験が終わった頃の6年生と言えば、見違えるほど大きくなり、言動にも大人っぽさを感じさせるものです。なかには、背丈も親を越え、もうすっかり思春期の入り口に立っている様子の子どももいます。
老いていくばかりの大人と比べ、日々ものすごい勢いで変化を遂げ、成長していくのが小学校の中~高学年の時期なのです。そんな時期の中学受験対策ですから、「どういう取り組みをするか」が、子どもの人間形成に及ぼす影響は少なくありません。おとうさんやおかあさん、そして私たち学習塾で指導にあたる者は、子どもたちがこのような時期にあるということを念頭に置き、「子どもの大いなる成長につながる受験生活を実現させよう」という意識をもつことが大切だと思います。
たとえば、おとうさんおかあさんは家庭でのお子さんの勉強において、どんな取り組みを期待されるでしょうか。子どもの時間や労力を、惜しみなく受験勉強につぎ込むよう期待すれば、当然他のことはないがしろになり、すべてが受験勉強一色に染まっていくでしょう。また、そのことによって学校生活に歪みが生じたり、子どもが身につけるべき生活習慣や生活態度なども、疎かになったりしがちです。そうなってしまうと、受験での合格と引き替えに、もっと重要なものを手に入れ損なってしまう可能性もでてくるように思います。
一方、「受験勉強は、決めた時間の範囲で、精一杯やればいい」「人に頼らず、何でも自分の力でやり遂げるよう努力しなさい」などと言ったならどうでしょう。子どもの受験勉強に対する意識や取り組みが随分違ってくるのではないでしょうか。子どもの将来という視点に立ったなら、私たちはできるならそういう方針で臨む方がよいと考えています。
小学校の4~6年生は、表面的には親への全面的依存の状態にあるように見えます。しかし、それでいて内面では着々と大人になる準備をしています。そういう年齢期に少なからぬエネルギーを投入して受験勉強をするのですから、そこに親の方針や期待を示すことは極めて重要なことです。このタイミングを逸してしまうと、子どもの人間形成に深く関われるチャンスは二度とないと言っても過言ではありません。
「どういうプロセスで結果を得るべきか」について考えることは、まだ無理な子どもたちの受験です。子どもを取り巻く大人は、そのことを踏まえ、子どもの取り組みの舵取りをしてやりながら、望ましい成長を引き出してやりたいものです。
すべての子どもたちが中学受験を逞しく乗り越えるとともに、すべてのご家庭において子育ての重要な節目を無事終えられることを念じて、いささか僭越なことを書かせていただきました。ご理解、ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。