第一子、第二子それぞれの明暗

4月 13th, 2009

 あるとき、通学生のおかあさんから思わぬことを言われ、長子のよいところと、気になるところについて考えさせられることになりました。

 「先生、上の子はもうすぐ中学受験なんですが、とうとうがんばりきれないままに終わりそうです。何をやるにもシャキシャキしないというか、集中力に欠けるというか、やっている割に成果が出てきません。下の子は3年生ですが、こちらは何でも自分でさっさとやれる子で、全然手がかかりません。それに成績もずっといいんです。やっぱり、ほったらかしにしたからよかったんでしょうか」

 それを聞いて、「下のお子さんは、ほったらかしにされたんじゃなくて、二番目のお子さんということで親子の間合いがちょうどよくなったんじゃありませんか」とお答えしたことを覚えています。

 実際、その通りではないでしょうか。一人目の子どもは、親も勝手が分からず、たくさんの育児書を買い込んだり、人からアドバイスを得たりして研究し、必死に子どもを育てるものです。それが功を奏する例は少なくありません。落ち着きがあって、何にでもまじめに取り組み、おおらかで人当たりがよく、優等生・・・・・・こうした特徴は長子ならではのものです。

 ただし、今回ご紹介した例のように、今ひとつ覇気がなく、やることに主体性や情熱が感じられないお子さんも少なくありません。このような性格は学業においても弱点になり、足を引っ張りがちです。これは、おそらく親が手をかけすぎたのが逆効果を生み出したのでしょう。自分でものごとを判断したり、自分で最後までやり遂げたりする経験をもっとさせるべきだったのです。

 このことは、おかあさん方も十分に承知しておられることと思います。しかし、現実の子育て場面では、やはりわが子はかわいいですから、どうしてもあれこれ手を差しのべたり、指図してしまったりになりがちです。

 しかし、「かわいい子には旅をさせよ」という言葉もあります。かわいいからこそ親は子どもから一歩離れて見守る必要もあります。失敗を乗り越え、自分で這い上がる経験をしてこそ、子どもは自分に自信をもてるようになります。この自信が行動力や問題突破力につながるのは言うまでもありません。

 ところで、長子の育児で疲れた結果でしょうか。上の子が学力優秀で、入試でもこれ以上ないほどの結果を得たのに、下の子は何をしてもいい加減で自制心が足りず、学力がサッパリ伸びないということもよくある事例です。これなど、先ほどの例とは逆に、親はもっと手をかけてやるべきだったのだと思います。

 また、優等生の姉をもつ男の子の場合、自分に自信がなく、勉強にも勢いがないために学業で低迷するケースがままみられます。優秀なお姉さんを基準にされると、弟さんはかわいそうなものです。ただでさえ男の子は精神面の発達が女の子よりも遅いのですから、やることなすことが親には不十分に見えるものです。そうして、親から不満を言われたり、叱られたりした弟さんは、すっかり自信や覇気を失ってしまいます。

 自分の子育てがよかったのかどうかがわかるまでにはずいぶん時間がかかります。それだけに、「このままでいいのか」と不安になるものです。上記の事例が少しでも参考になれば幸いです。

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