家庭での会話と子どもの学習との関係  ~その1~

5月 25th, 2009

 家庭での会話量が、子どもの学習時間に影響しているのをご存知でしょうか。上智大学の武内清教授とベネッセ教育開発センターの共同調査(2004年11~12月)によると、小学生、中学生、高校生を問わず、親との会話の多い子どものほうが、少ない子どもより平均にして15分程度の違いがあるということが発表されています。以下は、調査結果をグラフで表示したものです。

家庭での学習時間(小学生・親との会話量別)

学習時間グラフ

平均時間(無回答・不明を除く)
会話が多い…59分 会話が少ない…44分

(Benesse 第1回子ども生活実態基本調査より)

 ここでの親子間の会話とは、「学校でのできごとについて」「勉強や成績のことについて」「「将来や進路のことについて」「友だちのことについて」「社会のできごとやニュースについて」の5項目です。これらの話題について、おとうさんやおかあさんとそれぞれどれぐらい話をしているかが調査されました。5項目×(父・母)合わせて10項目について、「よく話をする」から「ぜんぜん話をしない」までをいくつかの段階ごとに得点化し、その合計点を会話量の指標としています。そして、全体をほぼ同数の半分ずつに割り、「会話が多い群」「会話が少ない群」に分けて比べています。

 上表は小学生に対する調査結果のみご紹介しましたが、中学生、高校生についても、「会話をよくする」子どものほうが平均して学習時間が15分程度多いという結果が示されています。

 これを見て、「やっぱりそうか」を思った方も多いことでしょう。大人でも「夫婦間」「親子間」を問わず楽しい会話の時間をもつと元気ややる気が出るものです。まして、親の庇護のもとで暮らしている子どもは、親と楽しい会話の時間をもつと、自然と「やるべきこと」に気持ちが向かっていくのではないでしょうか。

 中学受験の勉強が始まると、親子で話をする時間を惜しんで「おしゃべりより勉強」となりがちですが、これは却って逆効果だと言えるでしょう。また、これは以前にお伝えしましたが、中学受験の準備にあたる小学校4~6年生は、爆発的に語彙を増やしていく年齢期にありますから、親子で会話の時間をもつことは、語彙や思考力を増強させる意味においても重要です。何よりも言えるのは、会話があってこそ親子の信頼関係は増しますから、受験が近づいてから親子共々ストレスをためることもなくなります。まさに、「中学受験生だからこそ、親子の会話を大切にすべし」と言えそうですね。 

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