進学塾は二つのタイプに分けられる
6月 1st, 2009
これは何かの本に書いてあったことですが、進学塾は大きく“二つのタイプ”に分けられるそうです。一つは、“合格率”を売りにする進学塾で、もう一つは“合格者数”を売りにする進学塾です。
進学塾は、子どもや生徒の進学の夢を叶えるのが仕事です。経営を成り立たせるには、何と言っても合格実績をあげなければなりません。実績を世間に認めてもらう方法・根拠として、合格率や合格者数は欠かせないものです。
ただし、合格率と合格者数は、両立させるうえで難しい性質をもっています。数を集める学習塾は、どうしても“率”では分が悪くなるし、母集団の少ない学習塾は、“数”を謳うのは不可能です。特に、進学塾の評価基準となる“難関校”への合格状況については、より一層そうした傾向は顕著であると言えるでしょう。そこで、進学塾は“率”か“数”、どちらか一方に的を絞って世間の評価を問うているのが一般的です。
では、私たち家庭学習研究社はどちらに属するでしょうか。これは、言うまでもなく後者です。家庭学習研究社は、一定数以上のお子さんを確保していないと経営の成り立たない学習塾です。なぜなら、広島の中学受験生のための専用のオリジナルテキストやテストを制作しており、そのために相当な経費を投入しているからです。わずかな人数のお子さん相手では、テキストやテストの自社制作をすることは、経費面の負担から考えても不可能です。
ただし、数が必要な学習塾だからといって、いろいろな学力状態にあるお子さんをごちゃ混ぜにした、非効率的な指導をしているわけではありません。学力の到達度別にクラスを編成して、子どもたちのその時点の学力状態に最もふさわしい指導を実現しています。また、小学生の学力は短期間にどんどん変わっていきます。その点、学力到達度別の指導は、子どもの状態の変化に合わせて随時適切なクラスに編入できますから、むしろ多人数いることが効率的指導を可能にしているという面もあります。学力が伸びれば、それに合った受験目標校へと変更し、なおかつそれを実現できるのです。
以上のような事情から、家庭学習研究社は、そこにも、ここにもといったように、たくさんの教室を設けることはできません。特定の学区に密着するのではなく、かなり広範囲の地区から一定数以上の子どもたちに通っていただいてこそ、経営が成り立ちますし、学習塾としてめざしている指導も実現できるのです。よく、「近くに家庭学習研究社の教室があれば」というお話をいただくのですが、ニーズにお応えしたい一方、指導の質を維持するためにたくさんの教室を設けられないというジレンマがあるということも、ご理解いただけたらと思います。
なお、前述のように、家庭学習研究社は広島というローカル限定で活動する学習塾です。ローカルでありながら、数を集めるスタイルの学習塾として存続している理由。それは、広島が西日本随一と言えるほどの私学王国であり、多数の私学があるからです。また、入試の傾向もほとんどの中学校が基礎内容からの出題であり、比較的傾向に共通性があることから、一種類のテキスト・テストを制作し、それをほぼすべてのお子さんに使っていただけるという事情あってのことです。
ときどき、「おたくの実績は、何名受けてあげたのか」というご質問を受けることがあります。これは、はっきり申し上げて私たちにとっては答えにくいご質問です。率を上げたいがために、可能性の低いお子さんの受験校選択に介入するようなことはしたくありません。すべてのお子さんの学力状態や進路希望に添い、最善の学習指導をしていくことが私たちの使命であると考えています。