おとうさんの役割とは

6月 8th, 2009

 以前、わが国の家庭では、子どもの躾・教育の大半をおかあさんが引き受けておられることを書きました。子育ては本来両親でするものですが、どうもわが国ではおとうさんの影が薄いようです。

 ただし、新しい傾向もあります。弊社の小学校低学年部門“ジュニアスクール”の催しでは、夫婦一緒に来られた家庭がかなりありました。“子育ては夫婦共同で”というアメリカ的な動きもあるのでしょうか。それとも、催しが土曜日だったため、おとうさんが参加しやすかったのでしょうか。

 ところで、あるカウンセラーの先生が「思春期の子育てにおける父親の役割」という内容で、いくつかの指針を示しておられました。子どもをもつすべての家庭に参考になる指摘ですので、かいつまんでご紹介してみます。

父親の役割とは

1.おかあさんのサポート

 子どもの日常に向かい合い、一番苦労しているのは母親です。その母親の話をしっかりと聞いてあげること、そして、苦労をねぎらってあげることは父親の重要な役割です。「大変だったね」「おかげで助かったよ、ありがとう」と伝える。それだけで母親は、随分楽になります。

2.母親の呪縛(じゅばく)から救い出す

 子どもにとって、母親は強い吸引力をもちます。特に、男の子の場合にそれは顕著です。母親も子どもも、互いを所有物のように思うところから問題が生じることがあります。父親が、両者の強すぎる関係の緩衝剤的な役割を果たすことも大切です。

3.社会への入り口

 父親は、社会に一番近いところにいる存在です。ですから、子どもは父親を通じて社会を見ることができます。父親に認められ、受け入れられている、と感じた子どもは、社会からも認められ、受け入れられている、と感じます。子どもが自立を始めたとき、心の中はまだ不安でいっぱいです。そういうときに一言、「大丈夫、おまえならできる」と後ろを押してやってほしいのです。

4.社会のルールを教える

 子どもはまだ世の中のルールも知らず、何でも許されると思っています。社会に出て、いろいろな人と出会い、少しずつ世の中のルールを学んでいくのですが、子どもはいったん走り出すと止まらないことが多いものです。そんなときに適切にブレーキをかけ、ルールを無視するとそれなりの報いのあることを教えるのも父親の大切な役割です。

5.ジョークを言う

 母親はいつも家事や仕事に追われているので、なかなか余裕がありません。そんなときに、ちょっとしたジョークを言うのも父親の役割かもしれません。たいてい、「さむーっ」とか「ひでえ、オヤジギャグ」とか言われるのがおちですが、それが家の雰囲気を和ませてくれます。ユーモアのセンスをもつことは、人付き合いでも大切です。

 1は、すでに筆者も指摘したことがあります。子育ては、おかあさん一人に押しつけるべきものではありません。随分前のことですが、「息子がバカなのは、おまえがバカだからだ」と言われ、影で泣いておられたおかあさんがいらっしゃいました。失礼ながら、「愚かなおとうさんだ」と思いました。おかあさんをサポートするどころか、おかあさんを打ちのめすような言葉を浴びせて、よくなることなど一つもありません。

 2は、これを書いたカウンセラーの先生が「おかあさんたちからきついバッシングに遭いそうですが」と断りを入れておられました。男の子に対して、おかあさんは特別な「思い入れ」をもつものです。そのあまり、子どものやること為すことに干渉したり命令したりする傾向があるようです。それが高じて、互いに親離れ子離れができなくなってしまうというようなことをよく耳にします。

 3・4は、古くから言われている父親の役割です。近年は共働きの家庭が多く、一概におとうさんの役割とは言えなくなりつつありますが、基本としては今も変わらないと思います。

 5は、家庭におけるユーモアの大切さを指摘されたものでしょう。ユーモアは、潤滑剤のような働きをしてくれます。ぎすぎすしていた心を和ませてくれます。おかあさんが家庭で忙しくしているときには、ついつい余裕を失うこともあるでしょう。そんなとき、おとうさんのさりげない配慮があると、家庭の雰囲気が一瞬にして活気づくのではないでしょうか。

 言うまでもないことですが、近年はおかあさん一人でお子さんを育てておられる家庭がかなりあります。このカウンセラーの先生も、「“父親的”な親の役割という意味に解釈してください。この役割は、他の人が果たすこともできます」と述べておられました。要は「バランスをとりながら育てましょう」ということなのでしょう。

※上記の1~5は、紙面の都合で原文を変えたり、短くつづめたりしてしています。

Posted in アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育

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