学習成果は、取り組みの「方法」で大きく変わる

6月 18th, 2009

 前回、前々回と、学習の成果をあげるための重要な要素として「習慣」と「意欲」をあげ、これらについて書いてきました。この二つ以外に、勉強の成果を決定づける重要な要素としてあげるとしたら、「方法」であろうと思います。そこで、今回は「学習方法」について書いてみたいと思います。

 同じように勉強するのでも、理に叶った適切なやり方をするのと、行き当たりばったりでやったり、でたらめなやり方でやったりするのとでは、成果に著しい差が生じるものです。

 まずあげてみたいのは、学校の授業、塾の授業を受けるときの心構えや聴き方、ノートのとりかたなどがよくわかっているかどうか。これらは、学習方法の中でも大変重要な要素で、成果に大きな影響を及ぼします。お子さんはしっかりと理解されているでしょうか。

 また、授業で学んだことはそのままにすると記憶に残りません。そこで、復習をいつどのようにするかも成果に大きく関わってきます。宿題も、取り組みの時間を基本的には決めておき、その枠の中でやり切るような姿勢を身につけていた方が成果につながりますし、忘れたりやらないで終わってしまったりすることもなくなります。お子さんの「復習」「宿題」の取り組みの現状はどうでしょうか。

 もう一つ。テストがある以上、誰だって良い点や順位をとりたいもの。そこで、テスト対策としてどんな勉強をするかも、わかっている子どもをそうでない子どもとでは結果が随分違ってくるでしょう。テストでいつも好成績をあげているお子さんは、ただ頭がいいのではありません。授業での先生の話をよく聴き、テスト直前の重要事項のチェックが要領よくできる“テスト上手”なお子さんなのです。

 さらにはもう少しレベルの高い話になりますが、自分の弱点補強のための勉強、理解が不十分な箇所の見直しやり直しをいつどのようにやるかなどの算段も、中学受験の勉強ではいずれできるようになっていかねばなりません。

 ただし、小学生の場合、「望ましい勉強方法とは」といった形で指導しても、なかなか子どもにはわかりにくいものです。また、進学塾に通っての効果的勉強法ということになると、一人ひとりの教科ごとの成績状況に合わせた説明が必要になってきます。ですから、「望ましい勉強法について、どなたにも参考になる話はなかなか書けないものだ」と、この記事を書くにあたって改めて痛感した次第です。

 そこで、「算数」を例に、小学生の勉強のごく基本的なところに立ち返って考えてみました。小学生の勉強の基本は、学校での授業です。当然のことですが、学校の授業は教科書に沿って行われます。この教科書の内容に沿って行われる授業は、「導入 → 展開 → まとめ → 練習問題」といった流れになっているはずです。ですから、学力をつけるためのポイントは、「先生の話をしっかり聴く」ということに尽きるでしょう。先生の話に耳を傾けていれば、その日の学習で最も大切な知識や考え方が理解できるからです。もし、わからないところができたら、教科書を読み直しながら「導入」からもう一度やり直せばいいのです。この余りにも当たり前のことが定着するか否かが、学力獲得の第一の分かれ目です。

 家庭学習研究社のテキストも、小学生が使えるようしくみは教科書と同じようになっています。たとえば、4年生の算数のテキストは、「学習の要点 → 要点チェック →練習問題1(基本) → 練習問題2(やや発展)」といった流れになっており、授業もこれに沿って行っています。授業では、先生が「学習の要点」を「導入」に使って、単元の最も基本的で重要な事項について説明します。その際、子どもたちの反応を見たり、発問を繰り返したりし、できるだけすべてのお子さんが理解できるよう導いていきます。次に、「要点チェック」に移り、「学習の要点」で学んだ事柄がわかっているかどうか、一問一答式にチェックしていきます。それから、問題を解いていきます。問題は、易しいものから、徐々に難しいものへと配列されています。

 練習問題の大半は、学習の要点をしっかりと理解していればできるレベルに設定しています。わからない問題が出てきたときには、「学習の要点」に立ち返ってやり直すよう指導しています。

 いずれにせよ、小学生の学習の組み立てはごく単純なほうがよいと言えます。つまずいたら、その部分に立ち返り、繰り返し教科書やテキストを読み直す。また、子どもにとっての勉強の作業台はノートです。このノートづくりをしっかりと教えてやる必要があるでしょう。

 「習慣」と「意欲」、この二つと連動させながら、勉強の「方法」を徐々に身につけていく。そうして、この三つがしっかりと子どもに身についたなら、もう心配要りません。子どもは、もはや大人の手を借りずとも自分で学力を伸ばせるようになっていきます。そこに至るには、辛抱強い大人のサポートが必要ですが、いったんそこに辿り着いたとき、目の前にはすばらしい取り組みをする頼もしい学習者がいることでしょう。子どもの進歩発展のもどかしいプロセスを、優しく粘り強く応援してくれる存在。それは、おとうさんおかあさん以外にはおられません。
 

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