おかあさんの“ハツラツ”子育て講座が終了しました
6月 29th, 2009
この4月、中国新聞情報文化センターで開講した「おかあさんの“ハツラツ”子育て講座」は、6月22日の第6回実施分をもって全日程を終了しました。
毎回、受講されたおかあさん同士でやりとりをする場面を設け、参加型のワークショップ形式で行いましたが、おかあさんがたはすぐにこのやり方を受け入れ、双方向性のある催しならではのよさを感じ取ってくださったように思います。
課題やテーマに沿って、おかあさん同士で話し合う際には、毎回違う方とペアを組んだり班をつくったりで、講座の後半にはほとんどの方が仲良くなっておられました。参加者が互いに意志疎通がはかれる仲間のようになると、講座に活気が生まれます。「この講座に参加すると元気が出てくる」といった感想を述べてくださるおかあさんも出てきました。
講座はワークショップ形式で行いました
ところで、「中学受験専門の進学塾のスタッフが、なぜ『子育て』と銘打った講座を実施するのか」と、いぶかしく思われる人もおありかもしれませんね。
これには訳があります。中学受験の準備学習は一般的には小学校4、5年生からの2~3年が必要です(弊社では、4年生からの3年間を規準にしています)。この時期のお子さんは、受験生である以前に、人間として成長途上にあります。ですから、受験するからといって受験勉強ばかり優先するわけにはいきません。小学生としての生活に、受験対策を無理のないよう組み入れる必要があります。
しかしながら、ただでさえ手のかかる年齢の子どもです。そこへ将来の進路に関わる受験勉強が加わると、土台となるべき小学生としての生活に歪みが生じ、おかあさんがたの子育てを揺るがすようなことにもなりかねません。何よりも、お子さんの健全な発達にとって望ましいことではありません。
私たちがおかあさんがたにお伝えしたいのは、「受験のプロセスも『子育て』の一環として捉え、何をおいても受験勉強優先するようなやりかたをしないようにしましょう」ということです。「子育て」とは、言うなれば子どもを自立した人間に成長させる営み。受験勉強も、子どもを自立に向かわせる流れのなかで捉えるべきです。
お子さんの受験指導を預かる立場に立つだけなら、ただ合格へとお子さんを導けばいいのかもしれません。しかしながら、受験にだけ目を向けたのでは、お子さんの健全な成長という視点がないがしろになってしまいがちです。
この講座を通して筆者が感じたのは、おかあさんがたは子どもとの距離の置きかたに難しさを感じておられるということです。まだ何でも子ども任せにはできないものの、そうかと言って何でもかんでも親が指図したり手を貸したりでは子どもは自立できません。その間で揺れておられるのです。
「勉強は決めた時間に自分から取り組んでやってほしい」――これは、おかあさんがたの率直な願いです。しかし、そこへ到達するまでには、子どもの自立を後押しする長いプロセスが必要です。なかなか親の期待通りにはやってくれず、イライラを募らせておられるおかあさんも、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは程度の差こそあれどの家庭の問題でもあります。小学生のうちから、何でも自分でやれる子どもなんていません。ついつい親は先回りをし、どうすべきかを指示したり命令したりしがちですが、それでは子どもは反発するし、自立に向けて成長することはできません。
そこでこの講座では、子どもの側に立ってものを考え、子どもの「自分でやろう!」という気持ちはどうしたら湧いてくるのかについて一緒に考えていただきました。また、子どもの自立勉強に向けた応援のありかたについて、様々な角度からご提案させていただきました。
おかあさん同士で話し合う時間は楽しそうです
それにつけても重要なのは、おかあさんが子育てに自信や元気を失ってしまわないことです。講座では、たくさんの親御さんや子どもたちの事例を紹介しながら、おかあさんがたが奮い立ってくださることを念じてお話しさせていただきました。どのおかあさんも、最後まで熱心に耳を傾けてくださり、講座の講師として大変ありがたい思いを味わわせていただきました。
今から何かが劇的に変わることはないかもしれません。しかし、毎日子どもと接する場面の積み重ねで子どもは変わっていきます。おかあさんがたには、この講座に参加いただいたことで、親のもつ影響力の強さを再認識していただくとともに、「わが子をちゃんと育てよう!」という意欲を高めていただいたならうれしく思います。