夏休みを子どもの成長の契機にする  ~その1~

7月 2nd, 2009

夏のおかあさんセミナー
おかあさんセミナーの様子(編集部よりぼかしを入れさせていただきました)

 6月27日(土)、西区民文化センターで「夏のおかあさんセミナー」という行事を実施しました。本日は、そこでの内容をもとに、この夏休みの活かし方についていくつかのご提案をさせていただこうと思います。

 おかあさんセミナーは、小学校低~中学年のお子さんの母親を対象としましたが、内容は小学生をおもちの親御さんすべてに参考にしていただけるものだと思います。興味をおもちになったら、ぜひこの後も読んでみてください。

 まずは、「夏休みならではの、親子いっしょの時間を活かす」というテーマで、かなり時間をとって三つの提案をさせていただきました。

  1. 1.会話によって、子どもの“コミュニケーション能力”の発達を促す。
  2. 2.子どもに接する態度を工夫して、子どもの“考える力”を伸ばす。
  3. 3.夏休みを、子どもを読書の楽しい世界へいざなう契機にする。

 まず、「会話によって、子どもの“コミュニケーション能力”の発達を促す」について。子どもの知的能力の土台は、家庭での会話の繰り返しのなかでつくられています。“モデリング”という心理学用語がありますが、子どもは親、特におかあさんが日常使っている言葉を聞きながら、それを真似て言葉のレパートリーを増やしたり、使用方法を学んだりしています。

 そうやって身につけた言葉が、学校という公式の教育の場で使われる言葉に近ければ、また、活字による勉強に適したものであれば、子どもは違和感なく、そして支障なく学ぶことができるでしょう。第三者のいない、家庭という環境においては、ともすれば言葉の重要性が意識から薄れがちです。「早く!」「ほら、あれ!」「ご飯よ!」「えっ、まだなの?」「もうすぐ」「えーと、きのうのヤツ」などの一言でやりとりすることも少なくありません。

 しかしながら、それが子どもの言葉を貧困にしているケースが多いのです。誰が聞いてもちゃんと理解できる、理路整然とした話し方がわが子に身につくよう配慮しておられるでしょうか。家庭内のコミュニケーションにおいては、お互いの気心が知れているうえ、状況を共有しています。すべてを言わずとも、意志疎通ができてしまいます。そこで、言いたいことを順序立てて相手に伝えようとする姿勢がなかなか備わりません。

 セミナーでは、家庭での会話状況について7つのチェックポイントを掲げ、現状を振り返ってみていただきました。また、言葉の使用状況が、学力形成面においていかに大きな影響を及ぼすかかについて、実例を挙げてご説明しました。

 先ほども書きましたように、家庭内での言葉のやりとりは親密な者同士で行われます。どうしても、感情混じりの言葉になるし、気づかぬうちに省略形が多用されることになりがちです。このような言葉は、言わば「インフォーマルな言葉」です。それに対して、学校など、家族以外のたくさんの人たちとやりとりする言葉は、「フォーマルな言葉」と言ってよいでしょう。フォーマルな言葉の使用においては、暗黙の了解は通じません。また、感情が出過ぎるのも好ましくありません。相手や周囲の人にわかるよう、ていねいかつ順序よく話すことが求められます。

 テストなどでは、そこに書かれている情報だけを頼りにして書かれている内容をイメージに起こす必要があります。また、解答を書くときには、誰が読んでも納得してもらえるような書き方をしなければなりません。それは、フォーマルな言葉を身につけていてこそできることです。小学校に入学後、勉強面で成果があがらず苦しむお子さんの話を耳にしますが、このフォーマルな言葉が身についていないことも原因の一つだと言われています。

 夏休みには、お子さんが家庭で過ごす時間がたっぷりとあります。親子の会話のありかたを見つめ直す契機にしていただければ幸いです。

 なお、家庭内の言葉のやりとりにおいて、省略形が用いられること自体は、悪いことではありません。ですから、そういう言い方をすべて否定する必要はありません。フォーマルな表現との使い分けがしっかりとできるよう配慮しておられればよいのではないでしょうか。

 

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