夏休みを子どもの成長の契機にする  ~その3~

7月 9th, 2009

 このところ、6月27日に西区民文化センターで実施した、「夏のおかあさんセミナー」の内容をご紹介しています。今回は、「夏休みならではの、親子いっしょの時間を活かす」ための三つの提案のうち、三つ目について書いてみます。

 三つ目の提案は、「夏休みを、子どもを読書の楽しい世界へいざなう契機にする」という内容です。

 小学生の子どもが、黙読によって一人で読書を楽しめるようになるのはいつ頃でしょうか。一般的には、小学校2年生の秋から3年生にかけてだと言われています。ただし、音読も含め、とにかく本を子どもが自分で読めるようになるのはいつごろかということであれば、答えは変わってきます。おそらく、1年生の夏休みの時点であれば、ほぼ全員のお子さんが読書のできる段階に入っていると言えるでしょう。絵本のような本なら、幼稚園児のころから楽しんでいるお子さんも少なくないと思います。

 では、とにかくどのお子さんも読書をしさえすれば、読書が授けてくれる恩恵に浴することができるのでしょうか。私たちがお伝えしたかったのは、そこのところの疑問を出発点とした話でした。実は、読書をしてもあまり読みの力の向上につながらないお子さんが結構いるものです。実際、筆者も「うちの子は読書が好きで、いつも本を読んでいるのに、国語の成績がよくありません」と、読書が読みの力の向上につながらないことへの相談をこれまでたくさん受けてきました。

 読書をするのに国語力がつかないのは、話の筋立てや挿し絵ばかりに気を奪われ、本当の意味での読書をしていないからだと思われます。では、本当の読書ができる子どもにする方法はあるのでしょうか。

 私たちは、「小学校の4、5年生までは、読書と並行して『読み聞かせ』をすることが大切だ」と思っています。なぜ「読み聞かせ」かというと、読み聞かせをすると、子どもが本に描かれている表現の一つひとつを大切にして読む姿勢が身につくからです。

 本は、結末を知るために読むものではありません。ストーリーをただ楽しむだけでもよいと考える人もおられるでしょうが、それではもったいないように思います。本には、途中のあらゆる場面や部分に作者の意図が仕掛けられています。それに気づいて読むか、何も考えずに字面を追っていくかによって、本から得るものは随分違ってくると思います。2009_07_09

 もう一つ。中学受験の国語の問題では、まさにこの作者の仕掛けている意図を読み解くことが求められるのです。その領域へと、自然に読みのレベルをあげていくには、本当の読書を楽しむ体験を数多くしておくことが必要でしょう。途中のちょっとした表現の面白さを楽しんだり、何気なく示された伏線に気づいたりするようになっておけば、読書の幅は広がるし、読みのレベルもずっと深まるに違いありません。

 この夏、お子さんに「読み聞かせ」をしてみませんか? 親子いっしょに読書を楽しむ経験をしてみませんか? これが、私たちの提案したかったことです。

 「読み聞かせ」は、多くの家庭で試みておられます。しかし、大抵は子どもが1~2年生のころで終わってしまうようです。もっともっと読み聞かせをしてよいのではないでしょうか。欧米では、「読み聞かせに卒業の年齢はない」と言われています。自分で読書を楽しめるようになってからも、おかあさんの読み聞かせは格別に楽しいもの。そういう体験をしながら成長していくことは、子どもの読みの能力の向上だけでなく、人間性を育てる意味においても大いに価値のあることだと思います。

 あなたもこの夏休みには、もう一度読み聞かせにチャレンジしてみませんか?

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