がんばってくれないわが子をどうする?
7月 21st, 2009
わが子が中学受験対策の勉強を始めたものの、「がんばってくれない」と、心配やイライラを募らせておられるご家庭はありませんか? 今回は、そんなご家庭のおかあさんがたに、何か励ましや指針が提供できたらと思って書いてみます。
子どもの勉強ぶりは、親から見ると中途半端でがんばりが足りないように見えたり、意欲が足りないように思えたりするものです。親には大きな期待があります。また、大人の目線で子どもの勉強を見るので、どうしても不十分な点やアラばかりが目についてしまうものです。
そこで、つい子どもの前で嘆きの言葉を発してしまったり、注意や命令の言葉を繰り返したり、感情的になって子どもを叱りとばしてしまったりするケースもあるようです。おかあさん自身、よくわかっておられると思いますが、こういう対応では子どもをがんばらせる効果が得られませんし、おかあさん自身も気分が滅入ってくるものです。
「今、まさにその問題に直面している」と思っておられる方へ。
小学生いっぱいまでの、子育てにおけるテーマは「子どもの自立に向かう姿勢をバックアップすることだ」と認識していただきたいと存じます。今自立した勉強を求めるのではなく、「自立しよう」という意欲を引き出し、それを実際に行動に移そうとする姿勢を尊重してやればいいのです。
受験勉強の自立は、生活面での自立とも関わってきますが、小学生の子どもにとっては結構大変なことです。何でも自分でちゃんとやれるお子さんは少なく、親としてもどかしい思いをするのが普通なのです。まずは、自分でやろうとする気持ちを尊重し、それが行動面に表れること自体を大いにほめてやってはどうでしょうか。
あるカウンセラーの先生の言葉に、「“自立”とは、何でも自分でやるということではありません。自分でできることとできないことを区別し、自分でできることは精一杯やり、自分でできないことは他者の協力を得てやることなのです」というのがありました。
これは、子どもに対する言葉ではありません。大人の自立について語られたものです。大人だって、自分でできないことがたくさんあります。自分でやれる範囲を、自分の実力や経験に応じて判断し、自分でできることはやり、人の助力を求めなければならないときには、上手に他者と関わりながらサポートを求める。それが一人前の人間なのだということでしょう。
子どもの受験勉強が、初めからしっかりとしたものであるはずがありません。しかし、自分でやりきろうとする姿勢をもち、維持していけば、子どもは確実に成長していきます。そして、できることは自分でやり、自分一人では解決困難な問題にぶつかったなら、親や塾の先生などに相談する。そうなれば、一人前の中学受験生です。そこに至る途中こそ、親の出方が問われるのではないでしょうか。
親が自分のやることに関心をもち、自分でやり遂げようとすることを喜んでくれる。そして、いつも自分を見守り応援してくれる。そして、たとえ結果が得られないときでも、努力を認めて喜んでくれる。そういう親の子どもは、心が安定し、何事にもおそれず立ち向かう意欲や行動力を得ることができます。焦らず、子どもの望ましい成長を引き出すことに徹してみませんか?
まずは、やってみようという意欲を引き出すことから。結果には目をつぶる。そこから親子の信頼関係が築かれ、子どもは「親の期待通りがんばろう」、「自分でやれることややるんだ」という姿勢をもつようになります。そういう流れができたら、自然に結果も伴うようになるものです。
親が、自分の役割を見つめ直し、子どもの自立に向かう意欲を喚起することに徹する。それは親のストレス軽減になるとともに、子どもの成長にとっても大事なことではないでしょうか。