4年生の1年間の活かし方 ~その2~
11月 2nd, 2009
10月26日の記事に引き続き、今回も子どもの言葉と思考の発達を促すために、4年生の1年間をどう活かすかについて提案をさせていただきます。
前回は、子どもの思考力や表現力のベースアップをはかるための、読書と会話について書きました。今度は、自分で考えて行動する自立性や積極性を引き出す方策についてご提案させていただきます。
4年生は、まだ1年、2年先のことを考えて行動することができません。ましてや中学入試がどのようなものであるかを踏まえ、そのための対策や準備を自分でしていくことなどできません。ですから、今やるべきことの意味や重要性を認識して勉強することを子どもに望むのではなく、もっと別の観点からやるべき勉強への実行を促すことも必要になってきます。
そこでご提案したいのが、「何ごとにつけ、子どもに関わることは子ども自身に決めさせる」ことです。「やりなさい」という指示や命令で勉強することを促すのではなく、「自分で決めたことだからちゃんとやる」という気持ちを子どもから引き出すのです。
そういうやり方がうまくいくかどうかは、日頃から親が子どもを一人前の人間として扱い、子どものやることを信頼するよう努めていなければなりません。そして、子どもに対しては、「結果よりも努力しているその姿を見ることこそ、親にとってはうれしいのだ」という気持ちを常に伝えてやる必要があります。
日頃から、子どものことについては子どもと話し合い、子どもに決定するよう導く。勉強の割り振りについても、「親はアドバイスをするが、やるのはあなただから、どういうふうにやるかは自分で判断しなさい」という姿勢で子どもと話し合い、子ども自身に決めさせるのです。そして、やりきろうとする努力こそ、親が期待していることなのだということを上手に伝えてやるのです。
こうした親のもとで育った子どもは、自立心、行動力、責任感を育むことができます。そして、何よりも自分に対する自信をもつようになります。当たり前のことですが、困難なことをやり切るには、「自分に対する自信」がなくてはなりません。自分に自信をもてるかどうかは、当面の入試を乗り切るだけでなく、人生を乗り切るために不可欠な条件とも言えるものです。
これも以前当ブログでご紹介したことですが、日本の子どもたちは他国の子どもたちと比べて自分に対する自信がもてないでいます。理由はいろいろあるかもしれませんが、一つは「親が何かと手を貸しすぎる」ことだと思います。受験は将来の進路を決めるほど重要なもの。その受験を乗り切るために親が手を貸し過ぎては本末転倒な事態を招きかねません。
小学校4年生から5年生にかけて、子どもは自分という人間に目を向け始めます。そんな時期に受験をめざした勉強を始めるのだということを、親も踏まえておく必要があります。前回書いたように、親が手を貸してテストの成績をあげたのでは、いつまで経っても子どもは自分に自信がもてないし、自分の責任においてものごとをやり切ろうとする姿勢は育ちません。
まずは、小さなことも含め、お子さんに自信とプライドをもたせるよう接することをお願いする次第です。親にすれば、「いちいち子どもに相談しても、どうすべきかは決まっているんだから」という気持ちもあるでしょう。しかし、そうやって指示や命令で子どもをコントロールしている限り、子どもは自立を果たせません。
子どもが自分のやるべきことを自覚し、自分でやり遂げる。そうなるために親として配慮したいことをここで再度まとめてみましょう。
- ・子どもを一人前の人間として扱い、子どものすることを信頼してやる。
- ・子どもに関わることは、子ども自身に決めさせるように導く。
- ・結果を重視するのではなく、がんばりを見届け、そのことを親の評価軸にする。
おそらく、親はもどかしい思いを余儀なくされるでしょう。目の前のテスト成績にこだわるなら、いても立ってもいられない気持ちに襲われるかもしれません。しかし、親が目を向けるべきは勉強のサポートではなく、子どもの自立です。子どもの自立に向けた支援こそ、中学受験対策の勉強を始めた段階における親のいちばんの仕事なのです。