「黙読」ができるようになってからも「音読」を大切に!
11月 16th, 2009
今回は、音読について書いてみます。すでにお伝えしたことがあるかもしれませんが、黙読ができるようになってからも、音読をを是非継続していただきたいと思います。6年生になると受験勉強も大変になり、音読どころではなくなるかもしれません。しかし、できるなら5年生頃までは親の働きかけで意図的に音読を励行していくことをお勧めします。
なぜかというと、音読スキルの継続によって、絶えず黙読の精度が磨かれていくからです。黙読が可能になると、声を出さねばならない音読は面倒で敬遠されがちですが、音読がうまくならない限り黙読の精度は上がりません。音読は子ども自身で「うまく読めているかどうか」を自覚できるし、親もそばで聞いてチェックできますから、ほめたり励ましたりと、わが子の読みの態勢づくりを応援することができます。
音読を十分に経験するとともに、それを楽しんだ子どもは、物語などの作品を読むときにも、細部までしっかりと読み味わい、作品への理解も深いところまで到達することができます。しかしながら、十分な音読経験をすることなく黙読に移行すると、作品の本当の面白さを理解できないし、読書自体が面倒くさいものになりがちです。その結果、生涯で一番たくさんの言葉を獲得する大切な時期(小学4年~6年生)を十分に活かすことができなくなってしまいます。
また、読んだ内容の記憶度において、音読は黙読よりもはるかに優れています。だいぶ前に読んだ書物に書かれていたことですが、アメリカの大学での調査・実験によると、音読した方が黙読した場合よりも読んだ内容を30数%多く覚えているそうです。
中学受験をめざした勉強をするにあたって、子どもは国語だけでなく算数や理科・社会科などいくつもの教科の勉強をしなければなりません。これらの勉強の際、覚えておく必要のある事柄も数多くあります。そのための勉強においては、音読した方が効率的に学んだ内容を記憶することができるでしょう。そのことを大いに活用すべきではないでしょうか。
子どもが読書を真に楽しめる人間になるためにも、しっかりとした読みの力を身につけるためにも、学んだことを少しでも多く記憶しておくためにも、音読は大変重要な学習方法です。おかあさん方には、小学生時代の「読み」の態勢づくりに関心を寄せていただき、大いにお子さんに音読を勧めていただきたいと思います。
ただし、無理にやらせる方法ではマイナス効果に陥るおそれもあります。読むことに拒否反応をもたせたのでは意味がありません。親が押しつけて「音読訓練」をするといったやり方でなく、親子で音読を楽しむつもりでやっていただけたらと思います。音読が、親子のコミュニケーションの時間となり、読書の楽しさを分かち合う場となったなら、お子さんは間違いなく読書を生涯の友とする人間へと成長されることでしょう。
本を読むことは、理屈抜きに楽しいものです。今のうちに、この楽しい読書の世界へわが子を導き入れてやりましょう。子どもの読書に関われる期間は、あと何年もありません。今こそ、おかあさんの出番ではないでしょうか?