子どもを読書好きにするための親の役割は? ~その1~
11月 27th, 2009
小学生までの子どもが本を好きになるかどうかは、親の関わりが随分影響してきます。そのことについては、みなさんよくご存知だと思います。しかしながら、親がどのように関わるべきかについては、よくわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「読書と子どもの発達」をテーマに研究されている、東京大学大学院教授の秋田喜代美氏の文献をもとに、親のどのような関わりが子どもの読書を活性化するのかについて、ともに考えてみたいと思います。
秋田先生は、子どもの読書を活性化するための親の働きかけが、子どもの行動にどのような影響をもつのか、またこのような影響は、子どもの年齢によってどのように変わるのかについて研究されています。この研究にあたり、秋田先生は子どもの読書を活性化するにあたって親の果たし得る具体的な役割を五つに絞り、それをもとに調査を実施されました。以下は、その五つの役割を示したものです。
子どもにとっての読書環境の一つである親が果たし得る役割
1) 物理的環境の設定・準備者としての役割
家に本がなければ子どもは本を読めません。そこで、子どもが本文化に接触することを可能にする環境を設定してやります。
2) 読書熟達者としてのモデル的役割
親自身がよく読書を行い、読書の初心者である子どもに読書のしかたの手本を見せれば、子どもは自然と読書のしかたを理解していきます。
3) 子どもの読書参加への直接的動機づけを行う役割
子どもに本を読むことを勧めたり、本を買い与えたり、本屋や図書館へ連れて行くなどの働きかけによって、子どもに読書をするよう促します。
4) 子どもに本の読み方を教授する役割
親が子どもに本を読んでやることにより、本の読み方を教えたり、子どもが本を理解できるよう読書の熟達化を援助したりします。
5) 読書の評価者の役割
子どもの読書をほめたり、よりよい読み方の助言を行ったりすることで、子どもの読書意欲を活性化していきます。
以上の五つの役割行動が、どの年齢の子どもに有効であるかを調べるため、小三の児童146名(男80、女66)、小五の児童164名(男72、女92)、中二の生徒196名(男102、女94)、計506名の協力を得て調査をされたそうです。
子どもたちに尋ねた内容は、自分のおとうさんやおかあさんの読書に関連する行動と自分の読書行動について考えてもらう形式がとられました。
次回は、その調査の結果を紹介し、親のどのような働きかけが子どもの読書を活性化するのかについて考察してみたいと思います。
※ 1)~5)は、秋田先生が著作に書かれた内容を若干調整させていただいています。