中学受験で必要な親の応援と関わり ~その1~
4月 22nd, 2010
前回と前々回は、私学のハイレベルで競争の厳しい学習環境の中でわが子が埋没してしまわないためのケアについて書いてみました。そして、そのための基本として、受験勉強を大人に頼った形で行うのでなく、子どもが自立した勉強できるよう導いていくことが大切であるということを書きました。
今回は、そのために親がすべき応援やサポートについて書いてみたいと思います。前回あげた1)~4)の項目に沿ってご提案したいと思います。
なお、これらについてはあらかたすでに話題にして書いていますが、今回は改めて筆者が考えたことをまとめてみたいと思います。
1)勉強の割り振りを子どもと一緒に考える
学力をつけるうえで、家庭勉強の習慣はきわめて重要な働きをします。ただし、小学生の子どもが毎日決まった時間に机に向かうようになるまでには、親の粘り強い導きや励ましが欠かせません。多くのご家庭の様子をうかがうと、この習慣づけが中途半端なように感じられます。
では、なぜそうなってしまうのでしょうか。学習の習慣がつかないのは、計画を守れないわが子を見て黙っていられなくなり、親が口を挟んだり、くどくど叱ったりするからではないでしょうか。
では、親がそうせずにすむよい方法はあるのでしょうか。親が口出ししないですむようにし、子どもの自立心が発揮されるよう、上手にサポートすればよいのです。
小学校2、3年生ともなると、どんな子どもだって何かをするときには「自分でやりたい」「自分で考えたい」と思うようになっているものです。しかしながら、現実は放っておくとなかなか思うようにできません。しかし、「子ども自身では何もできない」と親が決めてかかっては、自立は遅れるばかりです。
ポイントは、子どもが「決めたことはちゃんとやるんだ!」という気持ちを強くもてるよう導くことです。たとえば、学習の計画を立てるにあたっては、子どもと話し合い、子ども自身が納得した学習計画になるようフォローしてあげてはどうでしょうか。
よく言われることですが、子どもに限らず誰でもよいことは「自分で考えた」、「自分から率先してやった」と思いたいもの。そのあたりを配慮しつつ、「子どもが決めた」学習計画をつくることが、子どもの実行力を高めるためには効果的であろうと思います。
「水曜日は○○時までピアノがあるから、塾の勉強はこの時間にしなさい」などと、みな言ってしまっては子どもが決めたことになりません。「○○時までは、ピアノがあるんだね。じゃあ、塾の勉強はいつやればいいかな?」など、子どもに考えさせるようにすれば、子どもは「自分が決めた」というこだわりをもつようになります。
2)子どものすることを信頼して見守る
さて、子どもが決めた学習計画ができあがりました。そこで、次はどんなことを配慮したらよいでしょうか。次に親に必要なのは、「信頼」してわが子を見守ることではないかと思います。
決めたことを着実に実行に移し、それを強固な習慣にまでしていくのは容易(たやす)いことではありません。まして子どもには、目標を達成するために辛抱して努力するといった姿勢を期待できるところまで成長していません。子どもが決めたことを実行し続けるには、「親は自分を信頼してくれている」という気持ちを子どもがもっていることが重要です。このような気持ちが、子どもの背中を押し行動を促していくのではないでしょうか。
ある本に、親から子どもへの信頼の気持ちがどうして大切なのかについて、参考になることが書いてありました。それをご紹介してみましょう。
子どもを信頼していなければ、
- ・子どもが自分で興味があるものを見つけても、それを許すことが難しくなります。
- ・子どもが意見を述べても、それを受け入れ、尊重することができません。
- ・子どもが学校で起きた問題を打ち明けても、その話を信じることができません。
- ・罰を与えるのではなく、「説明し・教える」という、愛情をもった方法で鍛えることが難しくなります。
- ・子どもが巣立とうとするとき、その決断を認めることができません。
いかがでしょう。これを読むと、子どもを信頼するということは、今回の話題の根底に関わる大事なことで、子どもを自立させるうえでの基盤となるものだということがわかります。子どもの立場に立ってみましょう。親から信頼されていないと感じて、やる気が起こるでしょうか。奮起するどころか、悲しくて何も手に着かなくなるのではないでしょうか。
「信頼する」とは、ちゃんとやることを信頼するのではなく、やろうと努力することを信頼することであろうと思います。親のそうした気持ちが伝われば、子どもは必ず行動し始めます。そこから、少しずつ子どもが変わっていくのです。