全校舎で「おかあさん塾」を開講します
5月 17th, 2010
5月末頃から7月初旬にかけて、弊社の全ての校舎で「おかあさん塾」という呼称の催しを開催することになりました。対象となるのは、4・5年部の会員家庭のおかあさんです。
「おかあさん塾」は、文字通りおかあさんのための塾です。ただし、おかあさんにお子さんの学習内容をお伝えしたり、勉強のコーチのしかたを伝授したりするわけではありません。おかあさん塾の趣旨は、「家庭と学習塾とが密に連携し、子どもたちの自立学習の確立に向けて応援の体制を築こう」というものです。
小学生4~5年生の子どもは、いっぱしのことを言うものの、やることが長続きしないことが多いものです。勉強は楽しいばかりではありませんし、「勉強しよう」と思うだけで精神的な負荷がかかるお子さんもいます。また、遊びたい盛りの子どもですし、友だち付き合いにこだわる年齢に達しています。
そんなこんなで、「勉強しなければ」と思っても、なかなか集中して勉強できなかったり、気分がふらついたりすることが多いものです。親はそういったわが子の様子を黙って見ていられなくなり、いろいろ注意をしたり叱ったりすることになるのですが、それが却って逆効果になり、子どもの反抗にあうことも珍しくありません。
「わが子がしっかりと勉強と向き合い、意欲的に学ぶ受験生活を築くにはどうしたらよいだろうか」と、思案しておられるおかあさんは少なくないことでしょう。
そんなおかあさんがたを励まし、勇気づけるとともに、おかあさん方の悩みを解消するための具体的方策を考えていく場があれば、状況は随分変わってくるかもしれません。ザッと申し上げると、そういう発想から生まれた行事です。
おかあさん塾は、1回きりでは尻切れトンボになってしまい、十分な成果をあげるのは難しいと考えました。さりとて、忙しい毎日を送っておられる大人にお集まりいただくのですから、そうそう度々というわけにもいきません。そこで、とりあえず夏休み前までに、2週間に1回の割合で、合計3回実施することにしました。各回の内容は、だいたい次のようになっています。
第1回 「中学受験生家庭の学習環境づくり」
~家庭の役割・学習塾の役割~
- 1.なぜ自立した勉強で合格をめざすことが必要なのか
- 2.学習指導にあたっている学習塾が担う役割
- 3.おかあさん方にお願いしたいサポート
第2回 「子どもの“学び”はおかあさん次第」
~親が変われば子どもも変わる~
- 1.親はどういう期待を子どもに向けるべきか
- 2.子どもはおかあさんを通じて多くのことを学んでいる。
- 3.子どもの前向きな学びの姿勢を引き出すには
第3回 「9歳・10歳の節を乗り越える」
~内面の発達が入試突破の鍵~
- 1.子どもの思考から大人の思考へ
- 2.子どもの知力は家庭の会話で育つ
- 3.読書と語彙力・読解力の密接な繋がり
この催しの進行は、主として参加されたおかあさんがたのお子さんを指導している者が行う予定です。いつもお子さんと接している担当者が話をすることで、より親近感が生まれますし、催しの最中で感じたこと耳にしたことを、指導の現場に反映させることもできるでしょう。
また、ワークショップ的な要素を採り入れ、おかあさん同士で話し合う場面を設けていますので、参加者が互いに仲良くなり、同じ悩みを共有しながら励まし合うこともできます。
受験塾にはいろいろなタイプがあります。弊社は、塾で鍛える時間を長く設け、塾での勉強で受験に合格させるといったスタイルを採りません。そういう方法は、入試合格までを保障することしかできません。大事なのはその先ではないでしょうか。中学受験後の人生は長いのです。中学受験後に子どもたちを待ち受ける学校環境や、これから先歩んでいく学問の世界を見通し、将来の大成につながる勉強によって合格できるよう子どもたちを導いていくことが重要なのだと私たちは考えています。
しかしながら、何事も将来的視点に立って行動するのは忍耐や辛抱のいることです。殊に、子どもの勉強のサポートのような、親にすればじれったく思惑通りに運ばない事柄はストレスとの闘いになりがちです。うまくやっていくには、新鮮な気持ちを失わないこと、常に一貫した姿勢を保つこと、確かな方法論をもつことが必要になってきます。当然ですが、一人で苦労せずに、他者から元気や指針をもらうことが重要になってきます。おかあさん塾がその役割を少しでも果たせたなら、これに勝る喜びはありません。
「受かりさえすれば後は何とかなるだろう」――こういった期待で子どもを無理やり鍛える形で入試を突破しても、子どものためにはなりません。子ども不在の勉強で、得られるものは一つもないといっても過言ではありません。辛抱強く子どもの成長を引き出し、どんなときにも自分なりの努力で局面を打開できるような人間に育てることが、成長期にある子どもを真に鍛えるということではないでしょうか。