暑さに負けず、熱心に学ぶ子どもたち

8月 5th, 2010

 灼熱の太陽がギラギラと照りつける夏真っ盛りのこの時期、中学受験をめざす子どもたちは毎日のように塾に通って勉強に打ち込んでいます。実際に学んでいる子どもたちを見たことのない人は、小学生の夏期講習と聞くと「かわいそうに」と思われるかもしれませんね。

 そんなかたも、ひとたび塾の中に足を踏み入れて授業の様子を御覧になると、子どもたちの真剣な表情や活発に学ぶその生き生きとした様子にビックリされることでしょう。知識欲が旺盛で、疑問を解決することが好きな子どもにとっては、塾って結構楽しいところなのです。勉強嫌いの人には理解できないかも知れませんが、学校より難しいことを学べるから元気が出るのです。

 実際のところ、教室にはエアコンが完備しており、凌ぎやすい室温が維持されていますから、暑さでまいってしまうというようなことはありません。教室の中にいる限り、真夏なのだということはすっかり忘れてしまうほどです。

 ずいぶん前になりますがエアコンのシステムが故障し、校舎内の全ての教室のエアコンが二日半使えなかったことがあります。その暑さたるや、思い出すだけでもゾッとするほどで、止めどなく流れ出る汗でたちまちタオルがぐっしょりぬれてしまうほどでした。午後になると暑さはいよいよ勢いを増し、頭はぼうっとして思考力が見る見る落ちていきます。「このままでは倒れてしまう」と身の危険すら感じました。エアコンの故障から三日目の朝、まだ直っていないことを確認したときには、心底落胆し、「休講にしてくれ!」と叫びたい心境に駆られたものでした。

子ども達の熱意の方があつかった! ところが、授業を受けている子どもたちはどうかというと、至って平気な顔をしています。こちらは立っているのがやっとの状態で発問をしたり説明したりしているときにも、弾けそうな笑顔で反応してくれました。あのときは、ほんとうに「子どもってすごい!」と感心したものでした。

 さて、勉強に打ち込むには決して条件がよいとは言えない真夏の講習ですが、中学受験生にとっては大変重要な役割を担っています。普段学校があるときには、学校を軸に毎日の生活は組み立てられなければなりません。ですから、受験勉強は学校生活と家庭生活の隙間に時間をつくってやるべきものでした。しかし、約40日間の長期休暇である夏休みには、受験勉強を軸に生活を組み立てることができます。このチャンスを活かすことで、子どもは大きく変わるのです。

 日頃は日曜日を利用しない限り、朝から塾があるなどということはありません。しかし、夏休みには毎日朝から塾に出かけて授業を受け、昼間の時間を経て、夕方や夜には塾の予習や復習をします。塾で学んだことがまだ記憶に新しいうちに、家でやり直したり、次の授業の準備をしたりすることを繰り返すわけですから、自然と勉強にリズムが生まれ、調子が上がってきます。決めた時間に、予定通りの勉強をやりこなすことで、集中力を伴った勉強ができるようになっていきます。

 こうして夏休みの講座を順調に終えれば、多くの子どもたちが単に勉強した内容を自分のものにしているだけでなく、夏休み前よりも学習の習慣がしっかりとし、計画的に着実に勉強を押し進めていく力をつけています。

 人間の頭脳は、どのような生活リズムのなかで働かせるかで、機能性が随分変わってくるものです。ボンヤリと何をするでもなく過ごしている子どもが、勉強のときだけシャキッとすることなどできません。いつも落ち着きがなくせかせか過ごしている子どもが、勉強のときだけ腰を据えて取り組むなどということも期待できません。毎日の計画を立て、できるなら塾での授業と家庭での勉強を中心とした生活を一定期間送り、テンポのよいメリハリのある学習ができるようになれば、秋以降の学習成果も随分違ってくるはずです。

 夏休みの期間はまだまだ残っています。お子さんが塾に通っておられるご家庭におかれては、今の生活リズムはどうであるかチェックしてみてください。予定の時間がくずれているようだったら、叱るのではなく、現状を確かめ合い、原因をお子さんに考えさせてみてください。夏休みのうちに、学習の流れがうまく行き始めたら、必ずや秋からの勉強に好影響がもたらされます。

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