見えない宝物
11月 4th, 2010
次年度講座の会員募集の開始にあたって、弊社では毎年11月に保護者の方(主に外部の方)を対象とした催しを行っています。この催しでは、弊社の理念や指導内容をお伝えするとともに、お子さんにとって望ましい受験生活のあり方や、親としての心構えなどについて様々なご提案をして参りました。ただし、それぞれの進学先で充実した学校生活を送るためのヒントやふだんの様子、学校の雰囲気については、実際に通っている生徒さんから直接話を伺うのが一番です。そこで、このたびは催しに先立って弊社の卒業生さん数名に協力してもらい、ちょっとしたインタビューを試みました。
インタビュー当日。その日は、ある女子校の中学2年生3人が集まってくれました。クラブの先輩や友達のことについて楽しそうに話す彼女達の様子からは、学校生活の充実ぶりがよく伝わってきます。一通り今の学校生活について聞いた後、今度は受験生時代のことを尋ねてみました。受験勉強を進めるうえで大変だったことやがんばったこと。また、身についた習慣や良かったと思うことなどを、率直に語ってもらおうと考えていたのです。ところが、返ってきたのは意外な答えでした。
「えっと……よく覚えてないんです」
なんとその場にいた3人全員が、特にがんばったことも辛かったこともなく、どんな受験生活を送っていたかあまり思い出せないと言うのです。とはいえ、市内でも難関とされる有名進学校に通う彼女たちが何の努力もせず合格を手にしたはずはありません。最初は照れかくしか冗談かなと思いましたが、彼女達はあくまで本気。インタビューの待ち時間にも教科書を広げて学校の課題に目を通し、定期テストに向けて「もっと勉強時間がほしい!」と言う3人の姿を見ていた私には、勉強に対してこんなにも真面目な生徒さんが、受験生時代のことを覚えていないのが不思議でなりませんでした。
(覚えていないということは、もしかして、彼女達にとって受験勉強はさして特別なことではなかったのかもしれない……。)
そのとき思い出したのが、弊社の中学受験体験記に寄せられたこんなお話です。それは、受験を終えたばかりの娘さんに関するあるおとうさんからの投稿でした。入試の緊張感からようやく解放され、「普通の生活」に戻ったはずの娘さん。ところが、思う存分遊ぶ時間ができたはずなのに、入試を終えた後も今までどおり机に向かう娘さんを見ておとうさんは驚きます。娘さんにとって中学入試は一つの通過点にすぎませんでした。彼女の気持ちがすでに次の目標に向かって動き出しているのを感じたおとうさんは、そこで初めて娘さんにとっての「普通」が何であるかに気づき、その成長に胸が熱くなったと書いておられました。
この娘さんと同じように、彼女達もまた受験を通じて身に付けた学習習慣が、知らず知らずのうちに毎日の勉強を「特別なこと」から「あたり前のこと」に変えていったのではないかと思います。言うまでもなく、このような姿勢は周りから強制されて身に付くものではありません。わかったときの喜びや、自らの力で問題を解き明かした際の充実感、達成感を繰り返し味わいながら、少しずつ自分自身で体得していくべきものです。そう考えると、目の前の彼女達は、何も語らずともこの中学受験を通じて得た本当の成果が何であるかを、十分教えてくれているような気がしました。
実は、このたび行う催し「中学受験は“学ぶ力”を育てる場」(11/15広島県民文化センター、11/17当社東広島校、11/18当社呉校で実施)の目的も、どうすればお子さんが小学生のうちに学習面での自立を果たせるのか、その方法を考えるところにあります。当日は、塾での学習指導やテキスト・システムの面から、またご家庭とのつながりの面から、様々なお話しをさせていただきます。また、今回のインタビューの様子や弊社の授業風景を映像でご覧いただくこともできますので、興味をもたれた方はぜひお気軽にご参加ください。
(sugihara)
「中学受験は“学ぶ力”を育てる場」 要項
- 対 象/小学生のお子さんをおもちの保護者
- 参加方法/予約や申込の必要はありません。お気軽にご参加ください。
- 内 容/中学受験のプロセスを活かし、どのようにして子どもを育てるか、当面の中学受験での合格を得るかについての当社の方針や考えをお話しします(いずれの会場も内容は同じです)。
≪広島地区≫
11月15日(月) 10:45~11:45
県民文化センター 5F サファイアの間
≪東広島地区≫
11月17日(水) 10:45~11:45
当社東広島校 TEL 082-422-1771
※恐れ入りますが、上履きをご用意ください。
≪呉地区≫
11月18日(木) 10:45~11:45
当社呉校 TEL 0823-25-6209