子どもの“学ぶ力”をいかに育てるか 弊社イベント報告2
12月 6th, 2010
前回は、先日広島、東広島、呉で実施した催しについてご報告しました。この催しは、例年冬期講座と次年度前期講座の会員募集の開始に伴って行っているものです。今年は、「中学受験は子どもの学ぶ力を育てる場」というタイトルを掲げ、これから中学受験準備の学習を始めるご家庭、中学受験準備の最中にあるご家庭の保護者の方々にお話しさせていただきました。
弊社は中学受験指導を専門に手がける進学塾です。当然、ご家庭とお子さんの夢を叶えるべくがんばっているわけですが、合格だけにこだわり、合格を得ることだけを目当てにした指導をして受かっても、子どものためにはならないことを、数多くの事例を通じて痛感してきました。
「イベント報告1」でご紹介したように、入試では出題できないけれども、子どもの学力形成に欠かせないのが“学ぶ力”です。この学ぶ力があってこそ、自分の力で学力を伸ばしていくことができます。中・高一貫校で失速する子どもの多くは、能力が及ばないのではなく、自らの学習を管理し、自ら進めていく姿勢や力を欠いていたからです。このことは、当ブログで何度もお伝えしてきました。
学ぶ力を支える主要な要素は、学習意欲、知的好奇心、学習計画力、学習方法、集中力、持続力、コミュニケーション力などです。これらは重要であるにもかかわらず、入試で問われることはあまりありません。現在の入試制度では出題することが難しいからです。
しかしながら、テストに出題されなくても、学びを牽引していく力を育むことは何にもまして重要です。それをしなかったばかりに、中学進学後に伸び悩む生徒が後を絶ちません。私たちは、こうした現実があるのに、合格最優先の指導をするのは望ましくないことだと考えています。
現在私たちが行っているのは、「知識・技能の獲得→合格」をめざす指導ではなく、「学ぶ力の育成+知識・技能の獲得→合格」をめざす指導です。
子どもの学ぶ力を育てるにあたっては、様々な角度から受験対策のありかたを検証する必要があります。たとえば学習のシステムやテキスト。これらは、子どもの学習のやり方や質を決定しますから、徹底的に吟味されるべきものです。そこで、イベントでは弊社の教材開発課の担当者が、学ぶ力を育てながら中学入試で合格できる学力を身につけていくために、どんなシステムやテキストによる指導をしているのかについてご説明しました。その内容は、大まかには次のようなものです。
1.通学日数
勉強の基本は自学自習である。塾で学んだ次の日は、必ず家庭で勉強をしていただきたい。そのため、弊社は週3日通学生を原則としている。
2.テキスト
小学生の子どもが自分で勉強するには、テキストが子どもの成長度に合っていなければならない。そこで弊社はテキストをすべて自社制作している。
3.復習をシステム化
学習したことを定着させるために復習は欠かせない。そこで、復習を子ども任せにするのではなく、テキストに復習を組み入れている。
4.学習意欲
易しすぎず難しすぎず、考えるに値する質の高い課題。それを提供することで、子どもの興味や意欲を引き出す。
5.テストと資料
進学塾である以上、入試での合格を得ることも重要である。そのためのテストや資料に関する研究も徹底して行い、毎年高水準の実績をあげている。
中学受験は、人生経験の浅い小学生の受験です。「子どもはまだ自分でものを考えられないのだから、大人が手引きをしてやらねば」と大人は誰しも思います。しかし、だからといって勉強のほとんどを大人が取り仕切ってしまっては、子どもの学ぶ力は育ちません。
面倒で忍耐を伴いますが、少しずつ勉強の自立を促し、手を貸すのは必要最低限に徹することが必要です。子どもが自分で学んでいけるようになるための試行錯誤を体験させてやるのです。学習塾としては、いささか不親切と思われるかもしれませんが、こうした方針とそれによって得られる成果をご理解いただいたうえで、お子さんを預からせていただきたいのです。
子どもたちが学ぶ力を養っていくプロセスは、決して辛いものではありません。むしろ逆で、楽しそうです。理由ははっきりしています。自分の進歩に手応えを得ながら学ぶことができるからです。やらされ勉強にはない、「自分の学びの主役は自分である」という実感があるからです。
次回は、学ぶ力を育てる授業をどのように実践しているかについて書くつもりでしたが、どうも話が堅苦しくなってしまいそうです。弊社の授業については、イベントの報告とは違った切り口でいずれご紹介しようと思います。