6年部「保護者説明会」の最終回にて
12月 20th, 2010
先日まで、弊社の各校で「6年部 保護者説明会」を行っていました。「保護者説明会」というのは、弊社の会員家庭の保護者にお集まりいただき、学習スケジュールや受験対策の進捗状況、ご家庭にお願いしたい配慮などについてご説明する催しです。各校舎で学年ごとに定期的に行っています。
6年部は入試を控えているということで、1年間に都合4回行っていますが、今回はその最後にあたり、入試直前の受験対策の内容や、入試1週間前・入試当日におけるご家庭の配慮事項などについてお話しするのがその目的です。
先日、ある校舎の保護者説明会に招かれ、ゲストでお話しさせていただく機会がありました。いつもお子さんが学んでいる教室が会場でしたが、さすがに入試が目前に迫っていることもあり、8割近いご家庭の保護者の方々が出席しておられました。
保護者のお顔を拝見すると、入会を検討していただくための催しや、4年部の保護者説明会などで目にする保護者の方々の表情とはまったく違っています。2年、3年近い入試準備期間を経て、いよいよ本番が近づいた時期の保護者の集まりですから、一種独特の緊張感や熱気が教室に漂っていました。
教室はぎっしり満員でしたが、平日だったせいもあり、ほとんどはおかあさんがたでした。おかあさんがたと向きあう形で着座していましたので、全員のお顔がよく見えました。そのいずれもがよい表情をされており、「ここまで辿り着いた親ならではの、万感の思いがあるのだろう」と、ここに至るまでのご苦労に心から敬意の気持ちを抱かずにいられませんでした。
さて、指導を担当している者の話が終わり、いよいよ筆者の番がやってきました。まずは、「とうとう、最後の保護者会になりましたね」と申し上げ、「親としてどうでしたか。受験生活のフォローは大変でしたか」と全員に尋ねてみました。「受験がお二人目、三人目のかたはどうですか」と申し上げると、あるおかあさんが、「一人目は無我夢中で終わりました。二人目ということになると、その経験を踏まえて今度はいろいろ考えてしまいました」というようなことをおっしゃいました。その通りだと思いました。わが子の受験は何人目であろうと、親としての大変さには変わりないのです。
筆者の担当は、「入試1週間前の親の心得」「入試当日の配慮事項」です。しかしながら、筆者は細かなことを丁寧に説明するのが苦手です。必要なことは、当日配布した資料に詳しく書いてありますから、「今日はおかあさんがたを元気づけて帰っていただこう」と考え、そういった趣旨の話を中心にさせてもらいました。
入試直前になると、さすがにどのお子さんもナーバスになっています。おとうさんおかあさんにお願いしたいのは、成績のことや入試での合否の可能性のことなどはもう話題にせず、お子さんが入試に向きあい、全力を出し切れる状態に導いてあげることです。そこで、次の二点について強調させていただきました。
1.どんな結果が待っていたとしても、わが子をまるごと受け入れてやろうという決意をしてください。
2.わが子が平常心を保てるよう、親としてできる限りの心遣いをしてあげてください。
中学入試は、わが子が人生でおそらくはじめて突き当たる大きな試練です。子どもが大きな試練に突き当たったとき、いちばんの支えになるのは「自分への信頼の気持ち」「自分への自信」です。それを育んでくれるものは、何と言っても「親は自分を愛してくれている。自分を信頼してくれている」ということを実感する体験です。
緊張のさなかにあるとき、親が不安を口にしたり、子どもにあれこれ命令したりするのと、親が泰然自若として大きな心でわが子を支えてやるのとでは、子どもの心のありように大きな違いが生じるのではないでしょうか。親の愛情に包まれたお子さんは、入試の緊張を乗り越え、立ち向かう勇気を手にすることができます。
また、本番が目前になってから勉強について親が指示を出すと、「あれもやっていない。これもわかっていない」と子どもは不安になります。そうなると、不安が不安を呼び、落ち着いて勉強できなくなるどころか、思考停止の状態に陥ってしまいます。「これからは、親は勉強のことにはなるべく関わらず、子どもが平常心を保てるよう気遣いをしてあげてください」とお願いしました。
ところで、おかあさんがたを元気づけるには、希望のもてる話を実例でお話しするに限ります。また、危うく大失敗に終わりそうな状況を乗り越える話がふさわしいものです。そういう話をしたつもりでしたが、大変な状況があったところまでお話ししたところで終わってしまい、「危機を乗り越えてちゃんと受かったのですよ」というフォローをするのを忘れてしまいました。会の終了後に思い出したのですが、まさに後の祭りでした。申し訳ありません。
始まりがあれば、必ず終わりがあります。受験生活を始めたからには、やがて入試というものに挑戦する日がやってきます。来るべき本番で禍根を残さぬためにも、今親として何をわが子にしてやるべきかを考え、しっかりとサポートしてあげてください。