よい学習習慣は一生の宝

1月 4th, 2011

 大人は、子どもによい生活習慣をつけることを期待するものです。理由は、単に「気持ちがよいから」ということではありませんね。朝起きてから就寝まで、スケジュールに沿って決めたことを確実にこなしていく習慣や生活態度が、あるかないかの違いを考えてみれば明らかです。計画性や見通しをもった生活ができれば、それだけ時間を有効に使えます。一生という長いスパンでみれば、人生の充実度に著しい差が生まれることでしょう。

 言うまでもありませんが、よい習慣や姿勢は、年齢が低いほど育てやすいものです。幼稚園や小学校低学年の頃なら、大人が導いていけばどの子どもにも身につきます。たとえば、こんな話があります。

 ある高校生が、俗にいう一流大学に合格した。両親は商売をしていて多忙な生活を送っていた。しかも、勉強のことはあまりわからない人であったが、子どもが幼稚園や小学校から帰ってくると必ず実行させることがあった。その一つは、母親が子どもと向かい合って座り、子どもの話を聞くことであった。二つめは、必ず机の前に座らせることで、それを10分から30分そして1時間と伸ばしていった。それが終わると子どもはおやつを食べ、遊びに行くことになる。これだけの話である。しかし、これは含蓄のある話であり、そこに教育的・神経科学的な意義を見出すことができる。

 この話を書いた学者は脳科学の専門家であり、面白い見解を示していました。ここで言う教育的意義とは、「両親は、子どもを教えはしなかったが、自主的に学ぶ態度を育てた」ということです。しかも、幼い子どもに対して条件反射的なしつけ方をしています。こうした幼い頃からの他律的しつけは、やがては内面化され、自律的行為に転化していきます。事実、子どもは学校から帰ると、机に着かねば気が済まなくなりました。いったん習慣化されたものは、自動的に反復され、崩れることがありません。

 もう一つ、神経科学的な意義とは何でしょう。幼児というものは、自分の価値観をまだ持ちあわせていません。幼い頃から机に座るという行為を反復させることは、子どもにある種の神経回路をセットすることです。そして、同じことの反復によって、子どもは机を見ると勉強に向かおうとする神経回路が呼び出され、リセットされます。こうした神経回路のリセットは、心的エネルギーを有効に使う機能を果たし、努力という言葉を不要にします。習慣が人間をつくるとは、まさにこのことではないでしょうか。

 大人は子どもに努力して勉強することを求めがちです。しかし、今のうちによい勉強の習慣をつけておけば、親が苦労して勉強させる必要のない子どもにできるのです。この1年間、そうした方向からもわが子を見守り、応援してあげてはどうでしょうか。

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