家庭勉強の担う重要な役割とは?

2月 18th, 2011

 わが子の学習に向かう姿勢が消極的で、自立した勉強ができない。幼稚さがなかなか抜けきれず、勉強の自己管理もままならない。この問題への対処として、塾で無理やり勉強させるとか、勉強はすべて塾任せといった方法は得策ではありません。

 こういうやりかたでは、子どもは精神的にも行動面でも自立が遅れてしまいます。自立できないまま中学生になった子どもは、伸びる芽を摘まれた状態に等しいと言えるでしょう。すぐに失速してしまいます。

 長年教育に関わる活動をしておられる先生は、「大人が家庭勉強の役割を誤解し、子どもへの接し方を取り違えるからこうした問題が起こるのだ」と述べておられます。

 学校は正式な学習の場であり集団指導の場です。様々な教科の学習を通して、学力を身につけるとともに、他者と交わりながら人間関係を築くすべを学び、将来社会に通用する人間になる基礎を築いていくのが、その大きな役割であろうと思います。

 塾は、学校の学習をちゃんと理解できなかったり、習熟が不足したりしたとき、その埋め合わせをする場所です。また、弊社のように、より高いレベルの学力を身につけるために子どもたちが通い、より発展的な要素を学べる場所として機能している塾もあります。

 家庭勉強は学校や塾の学習と連動していますが、別の重要な役割も担っています。子どもが課題に興味をもち、自ら率先して学習に取り組み、知りたいという欲求を満足させる行動の積み重ねを通して、常に新しい知識を自分で習得してく姿勢を培うためにあるのだと言えます。学校では、教科書の進行カリキュラムに則(のっと)り、順次新しい単元の考え方や知識を学んでいきます。それに対して家庭学習は、勉強に向きあい自らを伸ばしていく姿勢を養うためにあるのですね。自らが自らを鍛える勉強を通じて、子どもは精神的にも一人前に近づいていくのです。

 大人は家庭勉強を学校や塾の勉強の延長と捉え、「とにかく勉強しなさい」と働きかけるケースが少なくありません。これでは自ら学ぶ姿勢は育ちませんし、子どもを知識と心のバランスのとれた人間に成長させることはできません。学習の習慣づけや意欲の向上とからませながら、勉強に向きあう姿勢を辛抱強く育てていくことが、われわれ大人に求められるのではないでしょうか。

 では、親は子どもにどういう働きかけをしたらよいのでしょうか。そこで、2月20日折り込み予定のチラシ(チラシアーカイブはこちら)に次のような記事を掲載することにしました。

 勉強の自立にあたっては、生活面の自立が前提となります。朝の起床、着替えや食事、学校に行く支度など、おたくではどうでしょうか。これらが自立したなら、勉強の自立も大丈夫です。

 子どもの自立度は、親からの働きかけで決まります。「自主性ある子どもの親ほど、ある特定の行動が可能になる年齢を低く見積もる」というデータがあります。過保護・過干渉の傾向はありませんか? 「うちの子はきっとやれる」という、揺るぎない信念をもつことが親には必要です。

 「でも、今さら」と思わないでください。子どもはみな自立心をもっています。小さい頃、できそうもないことまで「自分でやる!」と言い張ったことがあったはずです。今もこの気持ちは決して失われてはいません。自分のことは自分でやらせましょう。そうして、ちゃんとやったら大いにほめ、喜んであげてください。きっと行動の様子が変わります。

 すでに受験勉強を始めているご家庭はどうでしょうか。子ども任せの勉強は親には辛いものです。勉強の甘さにつながりがちです。しかし、失敗する前から手を差しのべるべきではありません。テスト結果で勉強のまずさがわかったなら、そこに着目させるのです。叱るのではなく、「どうしてこうなったのか」を考えさせてください。一緒に考えるのはOKですが、口出しは禁物です。

 お子さんが、「今度はこうやってみる」と言ったなら、子どものさらなる自立に向けたチャンスです。大いに励まし、再び見守ってやりましょう。この繰り返しで確実に子どもは成長します。

 テストで子どもは多くのミスをします。それも修行の一つです。叱るのを我慢し、やり直しを助言してあげてください。落ち着いてやり直すと、できたはずの問題がいかに多いかに子どもは気づきます。「今度は絶対に失敗しないぞ!」と、奮起して次に臨むわが子を応援してやりましょう。

 子どもの自立に向けた見守りは、親にすれば忍耐と辛抱の連続です。失敗を経験させ、自分で這い上がる方法を見つけさせるのは辛いことです。しかし、それでこそ子どもは成長し、自分に自信をもつことができます。自立勉強が果たせたなら、受験での好結果も自然と引き寄せられることでしょう。

 勉強も毎日の積み重ねですが、子育ても同じです。毎日辛抱強くお子さんに働きかけてあげてください。親は命令したり教えたりするのではなく、子どものがんばりを期待し、喜んでやるのが本来の役割だと思います。そうして、子どもに自信と実行力を植えつける。そういった流れをつくっていただきたいと思います。前回ご紹介したようなお子さんたちも、特別な天才などではありません。親の徹底した子育てが彼らのすばらしい成長を引き出したのではないでしょうか。

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