家庭学習研究社の2011年度中学入試

2月 21st, 2011

 2011年度の中学入試が終わりました。毎年のことですが、解禁日から1~2週間のうちに次々と各中学校の入試が行われ、あっという間にすべて終わってしまったという印象です。また、受験産業は毎年の入試結果を目指して活動するせいか、その仕事に従事している人は、例外なく「1年経つのが早い」と言います。かく言う筆者も同じで、毎年の入試結果に一喜一憂しているうちに随分年をとってしまいました。

 人生経験の少ない12歳の子どもの受験ですから、最初の入試で手応えを得ると、勢いに乗ってすべて合格するような事例もあります。しかしその一方、出だしでつまずいて自信を失い、実力の片鱗すら発揮できないまま入試を終えてしまうケースもあります。残念な結果になったお子さんには、ほんとうに何と声をかけてよいか、辛い気持ちに襲われてしまいます。

 今年の家庭学習研究社会員の受験結果ですが、特別大きな変動はありませんでした。強いていえば、昨年は男子のほうに勢いがあったのに対し、今年は女子のほうの健闘が目立ったということぐらいでしょうか。来年は、男子の受験生が奮起してくれればと期待しています。

 今年の入試で気づいたことを少し述べておきます。補欠からの繰り上がりが例年と違う学校がいくつかありました(まだ2月であり、すべて決定済みではないかもしれませんが)。弊社会員の状況に基づく話ですが、広島学院の補欠繰り上がりが例年よりもかなり少なめでした。

 修道については、百名をはるかに超える補欠者が発表されたようで、弊社会員家庭にも多量の補欠通知が来たのですが、今現在一人も繰り上がっていません。合格発表者の数は例年とそんなに変わりませんから、今年は修道の合格者の歩留まりが例年よりもよかったのかもしれません。

 それにしても、たくさんの受験生が補欠からの繰り上がりを待っておられました。学校も手続きの状況を見てすぐに手を打たれたようで、繰り上がりの望みのない受験生の家庭には早めに連絡をされていました。補欠の早い番号で待っておられたご家庭のお気持ちはいかばかりでしょう。例年の統計的傾向が当てはまらず、学校も苦慮されたことでしょう。

 女子の主要校の補欠繰り上がりは、例年とほぼ同じでした。清心や女学院については、おそらく全体で数十名程度補欠からの繰り上がり者がいたのではないかと思います。当社会員については、ほぼ予想通りに繰り上がりました。

 広島大学附属中学校の入試では、補欠からの繰り上がり状況に大きな変化がありました。ご存知と思いますが、同校は共学であることからか女子受験生に大変人気があります。毎年のことですが、女子には大変な難関となっています。合格した女子受験生の入学手続き率も高く、そのため補欠からの繰り上がりは僅かです。今年も、弊社会員で補欠合格になった受験生はごく僅かでした。

 一方、男子の場合は例年かなりの数の合格者が他校に流れます。そこで、女子よりも遙かに多くの補欠繰り上がり合格者が出ます。特に昨年は非常に多くの受験生が補欠から繰り上がり合格になりました。ところが、今年は補欠からの繰り上がりが激減しました。

 原因ははっきりとは分かりません。ただ、120名の定員のうち、今年は附属小から進学する児童が50名強いました。ということは、外部からの進学者の受入数が男女合わせて僅か60数名ということになります。他の理由としては、不況を反映して学費面で負担の少ない同校を選ぶ家庭がいつもより多かったということも考えられます。弊社の会員合格者でも、附属中を選ぶご家庭が今年は例年より多かった(合格人数比で)ように思います。これらの理由もあって、補欠合格者が少ない事態になったのかもしれません。

 弊社会員の進学先として近年多いのが、広島なぎさ中学校と広島県立広島中学校です。これらの学校への進学希望者は、毎年増え続けています。

 なぎさ中学校は、JR五日市駅の南に校舎が移転して以来、五日市・廿日市地区の受験生の受け皿の域を脱し、広範囲から生徒が集まるようになりました。今年など、呉や東広島からの進学者もいます(2月21日現在6名)。今年は弊社から40~50名程度進学する模様です。

 同校は共学校であることから、女子のほうの人気がやや高いようです。そのためか、女子のほうがやや入りにくくなっています。また、併設の小学校からの内部進学者が60名以上あり、200名の定員のうち、外部からの入学者はその数を差し引いた数ということになります。これも、以前よりやや難化している理由の一つと考えられます。

 東広島で建学された公立の中・高一貫校、広島県立中・高等学校も、地元東広島を中心に優秀な生徒が集まるようになり、今やその人気もすっかり定着した感があります。県の肝いりで設立された学校だけに施設もすばらしく、弊社会員のなかには広島市内から通学する生徒も少しずつ増えています。

 昨年は弊社東広島校で、県立中の教頭先生、弊社の卒業生達を招き、同校のことを詳しく知っていただくためのイベントを開催しましたが、予約制にもかかわらず会場は保護者やお子さんで埋め尽くされるほどの盛況でした(とは言え、会場は教室ですから70数名ぐらいです)。

 ただし、同校の志望者の中心は圧倒的に地元東広島地区の受験生です。それも女子のほうに人気が集中しています。これもやはり共学の魅力でしょうか。また、同校は公立であるため、入試は論文や面接が中心に行われています。この入試制度は、内容から女子児童にやや有利であり、志望者の数がもともと女子に偏っていることと合わせ、弊社からの進学者は女子が中心にならざるを得ません。

 同校は、公立の中・高一貫校の成功例として全国的にも注目されています。同校の発展と合わせ、少しずつ男子進学者も増えていくことが予想されます。

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