テストの得点や成績から何を学ぶか
8月 1st, 2011
子どもの学力がどうであるかを知るための方法として、テスト成績のチェックは欠かせないものの一つです。しかし、ややもすると得点や順位を確かめるだけで終わってしまうことになりがちです。おたくではどうでしょうか。
言わずもがなのことですが、テストでの得点や成績が子どもの全能力を示しているわけではありません。弊社のテストの場合、2週間に1回のペースでテストが行われます。その2週間どのように取り組んだかの結果であると受け止めていただきたいと思います。点数や成績ばかり気にすると、肝心の取り組みが疎かだからこそのテスト結果なのに、「自分は力がない」と努力を放棄することになりかねません。
お子さんが小学校の4~5年生なら、テストの得点はむしろ参考程度に留めていただき、返された答案用紙のほうに目を向けていただくようお願いいたします。どういうことかを、これからお伝えしてみようと思います。
返却された後の答案用紙には、子どもの取り組みのあとがはっきりと残されています。全然わからなくてお手上げだったのなら、答案用紙はほとんど白紙でしょう。しかし、そういう例は極めて希です。大半のお子さんの答案はかなり埋まっていますし、そこに書かれていることを見れば、理解の度合いや取り組みの欠点も見えてくるものです。
時間配分に融通が利かないお子さんなら、時間が足りなくなった場合、おしまいの数問が白紙になっていることもあります。書いては消したあとのある空白も、それなりに理由を物語っています。
何よりも多い失点の理由としては、ミスがあげられます。小学生のテストは、まさにこのミスとの闘いといってもよいかもしれません。それだけに、「ミス」とひとくくりに扱うべきではありません。ミスにはいろいろな原因があるのです。
問題の読み違い、思い込みや勘違い、漢字の書き間違い、単純な計算ミス、解答欄の取り違えなど、ありとあらゆるミスがあります。特に男子の場合、指導を担当する先生から「うっかり大王」「ミスのデパート」の称号(ありがたくない話ですが)を獲得する子どもが毎年相当数いるものです。
ここまで読まれたおとうさんおかあさんのなかには、「ああ、うちの子のことだ!」と嘆き混じりの苦笑いを浮かべられたかたもあるのではないかと思います。
だいじょうぶ。今から対策を考えれば間に合います。このミスを撲滅するには、「どういうミスをしたか」を洗い出し、子ども自身に「自分はどういう間違いをする傾向があるか」を頭に置いてテストに臨むようにすることです。
うろ覚えですが、勘違いや思い込みによるミスは、人間の優れた脳機能から生まれるものだと、脳科学者の著書に書いてあったように思います。脳はその働きを省力化するため、過去の記憶から識別や判断を素早くしようとします。その結果、記憶にしまっていた事例や事物の記憶と似たものを目にしたとき、そのいずれかと同じものと判断してしまうのです。
ですから、思いこみなどによるミスが多いお子さんは、「自分にはそういう傾向がある」ということを肝に銘じ、気をつけてテストに臨めば、ミスは少なくなるものです。こういうお子さんは、決して頭が悪いわけではありません。むしろ、頭はよいのです。
子どもは、よくない点数の答案用紙を見直すのを嫌がります。しかし、この答案用紙に自分の学力を伸ばしていくヒントがたくさんあるのだということを、子どもに是非気づかせてやりたいものです。「テストの答案」には、子どもの現実が浮き彫りにされています。テストの答案にこそ、子どもの取り組みの欠点が示されており、巻き返しのためのヒントが隠されているのです。
わが子の成績状況が心配なおとうさんおかあさんへ。テストが返ってきたら、しかもそれが悪い成績だったら、そのときこそ冷静になり、一緒にミス探しや原因探しをしてみてはいかがでしょうか。おそらくは、取り組みの甘さ、ミスの多さに驚かれることになるのではないかと思います。そこで気づいたことを親子で話し合い、以後はテストが返ってきたら「何をどうしてこの結果になったのか」をお子さんに点検させるべきだと思います。
無論、指導する先生からもそういった指導や注意は行われています。テストを返すたびに注意を与えているくらいです。しかし、いつの間にかその言葉が儀式のようになり、聞き流されてしまっているケースも多いのではないかと思います。指導する側も気をつけてまいりますので、よろしくお願いいたします。