「おかあさんの勉強会」が始まりました

10月 24th, 2011

中学受験生の家庭で、一番負担を強いられるのは誰でしょうか。無論、受験生である子どもも遊びたい盛りに毎日勉強に取り組むのですから、大変といえば大変です。

 しかしながら、ほんとうに大変な思いをしているのはおかあさんかも知れません。受験に無頓着なわが子を心配してあれこれ働きかけたり、成績不振に陥ると心配して塾に相談したり、やる気を失っているときには怒りを抑えて励ましたり、毎日の食事を通して健康に気を配ったりと、おかあさんは気の休まる日がないと言ってもよいほどです。

 ある調査によると、わが国においては子育てに関わる仕事の8割以上はおかあさんが引き受けておられるそうです。ただでさえ大変なのに、そこへ受験生活のサポートが加わるのですから、その苦労は並大抵ではないことでしょう。

 そんなおかあさんがたの負担を軽減し、少しでもお子さんの受験生活が望ましい方向に向かうよう支援したい。そんな思いから企画したのが「おかあさんの勉強会」という催しです。対象者は、弊社の4・5年部「週3日コース」生の家庭のおかあさんがたです。

 この勉強会では、中学受験生をかかえた家庭の親に求められる配慮やサポートのありかたを、おかあさん同士の話し合いや励まし合いのやりとりを交えながら、ともに考えていきます。いわゆる「参加型」の催しで、ワークショップ的な手法を採り入れています。

 この秋は合計2回、各校舎の指導担当者の司会進行によって、校舎単位で行います。第1回は「やる気を引き出す叱り方」、第2回は、「9歳、10歳の節を乗り越える」というテーマとなっています。先日、筆者は五日市校で行われた第1回目の勉強会に同席させてもらい、会の様子を拝見させていただきました。参加者は10数名ぐらいでしたが、最後まで和気あいあいとした雰囲気で、おかあさんがたの楽しい声が教室に響き渡っていました。

 同じ悩みや問題を抱えている者同士ですから、互いの苦労を本気で汲み取る姿勢がどなたにもあります。それに元気づけられるせいか、深刻なムードなど皆無で、笑顔や笑い声が絶えない会となりました。この会を通して、日々の子育てや受験生活の応援に元気が湧いてきたなら、それがおかあさんがたにとっても、この催しに足を運んだ一番の収穫になるかも知れませんね。

 さて、後期第1回の「やる気を引き出す叱り方」ですが、「叱っても効果がない。もっとよい叱り方はないものか」「叱ると、つい感情的になり、後味の悪い思いをする。何とかならないものか」など、わが子叱ることについて難しさを感じておられるおかあさんが多いことから選んだテーマです。
 これは世界中のどの国においても共通の親の悩みですが、叱ると感情が高ぶり、ふだん押さえているわが子への不満が噴出して怒りと化し、それを抑えきれなくなってしまうようです。外国の教育者が書いている本を読むと、「叱るとき、親の怒りをいかに静めるか」というテーマだけで20ページ以上も割かれていました。叱ると怒りの感情が噴出するのは、どの国の親も同じなのですね。

 この催しにおいては、おかあさんのメンタルトレーニングの方法を提示し、いかに冷静さを失わずに叱るかついて共に考えていただきます。また、上手に子どもを反省へと導くための手順として、例を提示し、参考にしていただきます。これから実施が予定されている校舎のおかあさんで、興味をもたれたかたは今からでも構いません。ぜひ参加してみてください。きっと元気が湧いてきますよ。

 また第2回目の「9歳、10歳の節を乗り越える」ですが、こちらは子どもの精神面の成長をどう促すかという内容になっています。

 9歳、10歳の節とはどういうものかについては、以前このブログに記事を書きました(9歳の壁)。これまで300回近く書いた記事のなかで、一番多くの方々に読まれているものです。現在も、毎日のようにどなたかが読んでくださっています。関心のあるかたは、ぜひ読んでみてください。

 なぜこれを勉強会のテーマに据えたのかと言うと、中学受験の合否を分ける大きな要素の一つだからです。たとえば国語の物語文において、子どもの精神面の成熟度が正解を得られるかどうかを決定づけることがあります。行動や仕草、言葉から、その人物の本心や性格などを読み解く問題の場合、受験生の学力だけでなく、大人に近い思考ができるかどうかも正解にたどり着くための重要なポイントになります。表面に見える人物像に左右されず、人物の真相をつかめないと正解できません。

 このおかあさん勉強会では、「どうしたら子どもの思考から大人に近い思考へシフトアップできるか」をテーマに、家庭でできる働きかけについて共に考えていきます。実際の入試問題を例に挙げながら、幼いタイプの子どもが犯しがちな勘違いと正解とを比較し、子どもの発想と大人のそれとの違いを明らかにしていきます。

 「うちの子は、まだ幼稚さところが多分に残っていて心配だ」――そんなおかあさんは、ぜひ参加ください。第2回は、いずれの校舎においても受付可能です。

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