“家庭学”に通ってよかったと思うことは?

12月 5th, 2011

 今年の秋、呉校と東広島校で少し変わった趣向の行事を行いました。行事内容は、広島市内の主要な私学の先生がたと、それらの私学に通学している弊社の呉校・東広島校卒業生を招き、学校の特色や学校生活の様子を語ってもらおうというものです(東広島校では、地元の県立広島中学・高等学校の紹介行事も同じような趣向で行っています)。対象者は、4・5年部の会員児童とその保護者です。

 広島の私学の先生がたと、弊社の卒業生を一緒に招く行事は、何年か前に呉校で試みたことがあります。呉から広島の学校に通うのは、中学生にとってはかなりの負担です。中学生といえばまだ義務教育期間中ですから、親御さんが迷うのも当然かも知れません。しかしながら、通学上のハンディを克服し、すばらしい学業成績をあげている生徒さんが少なくありません。

 学校サイドは、「遠くから通ってくる生徒さんは、勉学への自覚が高く、しっかりとした取り組みをしている」ということで、この行事への参加に意義を感じてくださっているようです。また、弊社のほうは「私学の先生の話を直接聞ける機会を設けることで、私学への関心が高まるし、実際に私学に通っている生徒さんの話を直接聞けることで、遠くの私学に通うことへのメリットも感じてもらえるだろう」という思いがありました。

 招いた私学は、男子校女子校それぞれ2校ずつで、男子と女子に分けました。2校に交替でプレゼンをしてもらい、それぞれのよさとその違いを来場者には見ていただきました。

 この行事には大変よい反応をいただきました。先生がたのプレゼンも工夫されていて好評だったのですが、「どうやって生徒さんは通っているのか」「いつも朝は何時に起きているのか」「クラブ活動はどうしているのか」「1日の家での勉強時間は?」など、たくさんの質問も出ました。

 今回の記事は、この行事のことをお伝えするのが目的ではありませんので、行事内容についてはこれぐらいにしておきます。今回書こうと思ったのは、弊社の卒業生に「家庭学習研究社に通ってよかったと思うのは、どういう点でしょうか?」という質問をしたら、筆者が期待していた返事は一つもなく、しかも一様に同じようなコメントが卒業生から発せられたからです。

 外部のかたの前でこの質問をするのは、意図がやや見え透いていて嫌らしいかも知れません。会員家庭の親子の前でこの質問をしたのは、(家庭学習研究社の方針に沿って)「自立した学びができるようになっていたら、私学に入ってからも勉強で困ることはありません」というアドバイスがあるだろうと思ったからです。それを聞いた、受験生は今まで以上に自立した勉強をめざすようになるに違いないというもくろみがありました。

 ところが、期待に反して卒業生たちが答えたのは、「家庭学の出身者は、どの私学に行ってもたくさんいて、すぐに友だちになれる」「家庭学の他校の出身者も、同じ塾だったという気持ちがあって友だちになりやすい」「家庭学出身どうしで友だちができ、それから他の塾の出身者との友だち関係へと広がっていく」など、ほぼ同趣旨の内容でした。

 筆者はあてが外れて少し落胆したのですが、後日校舎の責任者をしている者から、この話について思いがけない話を聞いて納得しました。
「私も同じような思いをしていたのですが、どうやら卒業生にとって自分で勉強をするというのは余りにも当たり前のことで、空気を吸っていることと変わらないからのようです。特別なことでも何でもないから、わざわざ口にしないんですよ」

 先日、仕事でこられた新聞社のかたにこの話をしたら、「それって、深いですね」と言われました。そう言われて改めて、「方針は声高に語るうちはまだ徹底していない証拠で、語らずとも自然と浸透してこそ本物である」と気づきました。

 そもそも勉強というのは自分でするものです。余りにも当たり前のことです。しかし、小学生の受験の場合、この当たり前のことがともすれば忘れ去られがちです。自立した勉強による合格に向けて指導する私たちですら、そのことが難しいことだと頭から思い込んでいたのかもしれません。今回の小さなエピソードを通じて、生徒さんたちから、「勉強を自分でするのは、当たり前のことじゃないですか」と教えられる思いをした次第です。

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